多くの人はマイホーム購入時、「返済できる」と思って住宅ローンを組むでしょう。しかし、熟慮のうえに購入を決断したはずが、なかには住宅ローン破産に陥る人も……。一体なぜなのでしょうか? 今回は、マイホームのなかでも「マンション」に焦点を当てます。タワマンを購入したAさんの事例とともに、マンション購入の注意点について、FP1級の川淵ゆかり氏が解説していきます。
年収1,200万円の42歳勝ち組サラリーマン、フルローンで「8,000万円・タワマン」を余裕の購入も…5年後に「破産すれすれ」綱渡りのワケ【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

フルローンでタワーマンションを購入したAさん

妻と子どもを持つ42歳のAさんは、数年前に都内のタワーマンションを8,000万円のフルローンで購入しました。当時の年収は1,200万円で、住宅ローンの返済額は毎月約22万円です。

 

入居当時は余裕で返せると思っていたのですが、新型コロナ以降、年収が上がりにくくなってきたことのほか、中学生になった子どもにお金がかかるようになってきたことや、マンションの管理費・修繕積立金も上がってきたため、余裕がなくなってきました。

 

さらに、固定資産税については、5年を経過すると減税期間が終わります。これにより、支払う額が増えてしまうのです。このままでは、固定資産税の支払いが滞りそうで、頭を悩ませている昨今です。

 

「住宅ローンも変動金利型で借りているため、金利が上がったら返済額がどれだけ増えるかもわからないので、これからの生活が不安になってきました。新型コロナ以降、生活が一変した感じです。最悪の場合、破産するかもしれません」と、Aさんは怯えています。

住宅ローンだけじゃない…マンションのランニングコスト

マンションを購入するときに、毎月の住宅ローンの返済額は重要視してもほかの出費をよく考えないと失敗するケースがあります。マンションを保有していることでかかるランニングコストには、

 

・管理費
・修繕積立金
・駐車場代
・固定資産税
・都市計画税

 

といったものがあげられます。

 

管理費と修繕積立金

1.管理費

共用部分(エントランス・廊下・エレベーター・非常階段等)の清掃費用や水道光熱費、管理人などの人件費、エレベーターや貯水槽などの定期点検やメンテナンス費用、共用部分の火災保険や損害保険料など毎月かかる費用になります。今後も人手不足などによる人件費や光熱費の値上げで、入居時よりもアップしていく可能性があります。

 

2.修繕積立金

十数年ごとに行われる大規模修繕のための費用に充てるもので、管理費と一緒に毎月集金されます。十分に資金が積み立てられていないと、一時金の名目で不足分が徴収されることもあります。

 

修繕積立金も長引く超低金利の影響で、長期間積み立てていてもほとんど増やすことはできません。しかも昨今は人件費や資材の高騰で、修繕に大きな費用がかかるようになりました。

 

修繕積立金の徴収方法には「均等積立方式」と「段階増額積立方式」の2つがあります。近年の新築マンションは、初めは積立金額が低い「段階増額積立方式」を採用するところがほとんどで、将来の修繕積立金のアップは決定しているようなものです。

 

マンションの数が増えたため、マンションが売れるように当初の積立金の額を低く設定する販売業者もあります。国土交通省は、修繕積立金の過度の低い設定や急激な値上がりを防ぐため、下限・上限を設ける方針を固め、2024年3月中にまとめる考えであることを明らかにしています。

 

タワーマンションの固定資産税

固定資産税とは、土地や建物などの不動産の所有者に対して課せられる税金で、毎年1月1日の時点で、所有者に対して市町村が課税されます。

 

タワーマンションの固定資産税は、区分所有者の有する専有部分の床面積の割合に応じて按分計算されてきましたが、低層階の住戸の分譲価格に比べて高層階の住戸の分譲価格が高くなることが多く、不公平感がありました。

 

そこで2017年度の税制改正で、2018年以降に新築されたタワーマンションについては、階数が1階上がるごとに10/39ずつ上がる補正率を用いて税額が計算されるように変更されました。

 

なお、新築物件の家屋部分にかかる固定資産税は、マンションは5年間(戸建ては3年間)2分の1に減額されます。長期優良住宅と認定された建物はさらに2年間延長されます。減税期間が終了すると当然支払額が増えるため、Aさんのように慌てないよう気を付けておきましょう。