生活環境の変化で収入がダウン
タワマンでスタートした新婚生活は非常に楽しく、お洒落な家具や嗜好品なども次々にそろえた。また、2人で旅行にも出かけて出費は多かった。新居は利便性が良く、通勤時間が大幅に短縮できたこともあり、2人の余暇が増えるに比例して出費も増えた。
共稼ぎの安心感から、結婚後の家計管理をおろそかにしていたこともあり、次第に夫婦は「あれ? お金が全然貯まらない……」と感じるように。
そして購入から1年後、妻の妊娠が発覚。2人はおおいに喜んだが、妊娠3ヵ月目から妻のつわりが酷く、とてもじゃないが働けないと感じるようになった。有給をフル活用してなんとかやり過ごしたものの、A夫妻は「産休・育休の期間に住宅ローンが払えるのか? このままでは確実に赤字だ……どうしよう」と、家計への不安はますます大きくなっていった。
産前・産後休業(産休)は、出産の6週間前以降と産後8週間以内で休業を取得する。また育児休業(育休)は、1歳未満の子どもを養育する場合に取得でき、最長で子どもが2歳になるまで2回に分けて取得できる。
この産休・育休の間の給料は、ほとんどの企業で支払われない。もっとも、産休については健康保険から「出産手当金」が給付される。また、育児休暇に対しては雇用保険から「育児休業給付金」が給付されるため、収入がゼロになるということはない。
【出産手当金(日額)】
「支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額」÷30日×2/3
【育児休業給付金(日額)】
休業期間6カ月(180日)の間……「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」×67%
6ヵ月以降、育休終了時までの期間……「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」×50%
※出所「全国健康保険協会」https://www.kyoukaikenpo.or.jp/
「厚生労働省」https://www.mhlw.go.jp/index.html
出産・育児休業で妻の給料は、おおむね3割にあたる毎月12万円が減額されるため、育児休業を長期に取得した場合、家計は赤字の可能性が出てくる。
夫婦の両親は県外で暮らしていているため、頼るのは難しい。子育て中の友人いわく、3時間おきのミルクや、夜泣きなどで、とてもじゃないが働きながらの子育てはできないと言う。また、子どもの突然の病気などで、職場にも迷惑をかけてしまうかもしれない。こうした不安から、妻のB氏は「仕事と育児の両立なんて無理よ。仕事を辞めるしかないと思うの」と言いはじめた。
現在のタワマン生活は気に入っているものの、このまま生活が維持できるとは思えない……お金の不安に押しつぶされそうなA夫妻は、FPへ相談することに。