頑張って働いた先の未来である老後。できることなら希望をもちたいところですが、そうはいかないのが現実です。希望をもてず、不安が募るばかり。その元凶といえるのが「年金」です。果たして、どれほどの年金がもらえるのか……考えてみました。
希望なんてありません…月収「38万円」45歳サラリーマン、60歳で仕事を辞めた場合の「年金受給額」

45歳・平均的な給与のサラリーマン…この先も平均的な給与を手にした場合の「年金額」

さて老後に希望がもてない割合が最も多い40代。実際にどれくらい年金が見込めるのでしょうか。仮に45歳のサラリーマンだとして考えてみます。

 

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、45歳サラリーマンの平均給与は、月収で38.1万円、年収で636万円。仮にこの時点で「サラリーマン辞めた!」とすると、65歳から受け取れる厚生年金は5.6万円ほど。併給の国民年金と合わせて12.4万円ほどになります。

 

次に60歳の定年まで頑張って働き、平均的な給与を手にし続けたとすると、年金は月17.1万円と、およそ月5万円、年間60万円ほどアップします。これがサラリーマン人生、残り15年を頑張った成果だといえるでしょう。

 

ちなみに40年のサラリーマン人生、年収ごとに厚生年金額を考えていくと、以下の通りになります。

 

【40年のサラリーマン人生…年収別・年金受取額】

年収400万円…厚生年金7.4万円/月(14.2万円)

年収500万円…厚生年金9.6万円/月(16.4万円)

年収600万円…厚生年金10.9万円/月(17.7万円)

年収700万円…厚生年金12.9万円/月(19.7万円)

年収800万円…厚生年金14.2万円/月(21.0万円)

年収900万円…厚生年金14.2万円/月(21.0万円)

年収1,000万円…厚生年金14.2万円/月(21.0万円)

※(かっこ)内は、併給の国民年金(満額)を足した受給額

 

平均的な給与を手にする45歳のサラリーマン。

 

――このままずっとアベレージな会社員であれば、月17万円ほどの年金かぁ……

 

さらにこの金額はあくまでも額面。年金は雑所得扱いなので、受取額が年間158万円以上であれば課税対象。さらに社会保険料も引かれ、実際の手取り額は額面の85~90%程度になります。つまり実際に手にする金額は14.5万~15.4万円ほどになると考えられます。この年金額で「老後に希望をもてる!」と明るく振る舞うのは、少々難しいでしょう。

 

少しでも年金を増やせたら、明るい未来がみえてくるかもしれません。そのヒントは、先ほどの年収別の年金受取額に隠されています。

 

――あれ、年収800万円と年収1,000万円、年金額が一緒

 

厚生年金の計算の元となる平均標準報酬月額は32段階に分かれ、最高は65万円。これ以降はどんなに平均給与が増えようと、年金受取額は変わりません。これ以上に年金額を増やすには「より長く保険料を払う=現役を続ける」ことがひとつの選択肢になります。

 

仮に60歳以降も平均的な給与を手にして、65歳、つまり年金の受け取りと同時に現役を引退するとしましょう。厚生年金は「10.3万円」→「10.8万円」、国民年金と合わせると月17.6万円と、1ヵ月で5,000円ほど年金受取額はアップします。

 

年金への依存度が非常に高くなる老後。年金受取額が月5,000円も増額になるのなら、定年以降も働くことで得られるメリットは大きなもの。少しは希望がもてる老後になるのではないでしょうか。

 

[参考資料]

株式会社ロイヤリティ マーケティング『老後に関する調査』

厚生労働省『2022年 国民生活基礎調査』

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』