年金支給日まであと1週間ほど。ウキウキがとまらない日々を送っている年金生活者もいれば、「支給日前が本当に苦しい」というケースも。年金受給額が少なく、預貯金も心許ない、でも生活保護も受けられない……八方塞がりの高齢者の実情をみていきましょう。
地獄です…年金月8万円・70代男性「年金支給日まで残り1週間」財布の中には20円、生きるのもしんどい【年金生活の現実】

65歳以上のおひとり様「1ヵ月の平均支出は15万円」…年金だけでカバーできる?

総務省『家計調査 家計収支編 2023年平均』によると単身高齢者の1ヵ月の平均支出は15万円ほど。

 

【65歳以上単身者(勤労)1ヵ月の平均支出】

消費支出…14万9,033円

(内訳)

食料…4万0,527円

住居…1万3,103円

光熱・水道…1万4,434円

家具・家事用品…6,219円

被服及び履物…3,420円

保健医療…8,178円

交通・通信…1万6,230円

教養娯楽…1万5,748円

その他の消費支出…3万1,174円

 

一方で、年金受給額は国民年金受給者で平均5万6,428円、厚生年金受給者で併給の国民年金と合わせて14万4,982円。65歳以上に限ると男性が16万7,388円、女性が10万9,165円です。実際の手取り額は、社会保険料のほか、受給額が158万円以上であれば所得税もプラスされ、85~90%程度になります。あくまでも統計上の話ではありますが、「年金だけで生きていくこと」は非常に困難なことが分かります。

 

年金だけでは暮らせない、貯蓄もなにもない……そんなときには、最後のセーフティーネットとして「生活保護」があります。前述の男性が生活する地域(東京郊外)の生活保護費は、生活扶助基準額は7万1,900円、住宅扶助基準額は5万3,700円。賃貸であれば、12万5,600円が生活保護費となり、手取り収入との差額が受給される可能性があります。ただ生活保護を受けるには、基本的に貯蓄が生活保護費を下回っている必要があります。男性の場合、底をつくのも時間の問題というものの、まだ貯蓄があるので生活保護を申請しても受給は難しいといわれているとか。

 

生きていくだけでも精一杯の年金額。一方で、十分とはいえない程度の貯蓄があり生活保護を受けられず。高齢者の生活保護受給者は170万人ほどもいると言われていますが、それよりも苦しい生活を強いられている高齢者が、この日本には多く暮らしています。

 

[参考資料]

厚生労働省『令和4年 国民生活基礎調査』

総務省『家計調査 家計収支編 2023年平均』

厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』