安定のイメージが強い公務員。特にエリートの国家公務員になれたなら、親は大喜びするはず……というのは、いまや昔の話のようです。なぜ国家公務員は避けられるのか……考えていきましょう。
息子「おれ、国家公務員になる!」父「やめとけ」…平均月収41万円、安定・安心の「国家公務員」が親世代にも不人気のワケ

「キャリア官僚」を目指す東大生、大きく減少の理由

――おれ、国家公務員を目指すんだ

 

――やめとけ

 

――えっ?

 

そんな家族とのやり取りを投稿した男子大学生。国家公務員の試験に向けて父親に相談をしたところ、「このご時世、国家公務員なんてやめておいたほうがいいぞ」とアドバイスを受けたのだとか。国家公務員に限らず、公務員は「安定・安心」の代名詞。将来に渡って安泰の職業ということで、我が子が公務員を目指すことは親として嬉しいことのように思いますが、どうして学生の父親は反対したのでしょうか。

 

国家公務員は国全体に関わる業務を行う公務員で、主に中央省庁とその出先機関において業務を行い、主に中央省庁で政策の企画立案を担当し一般にキャリア(官僚)とよばれる「国家総合職」と、合格した地方ブロックにある各省庁の地方支部局で政策の実施を担当する「国家一般職」に分かれます。

 

また国家総合職の試験は「院卒者試験」と「大卒程度試験」に分かれ、それぞれ細かく区分が分けられ試験を実施。2023年度の「総合職試験の合格者数」は、2,450名で、そのうち男性は1,659名、女性は821名。大学別にみていくと、トップは「東京大学」で367名。「京都大学」「早稲田大学」「北海道大学」「慶應義塾大学」と続きます。

 

【2023年度「総合職試験」出身大学トップ10】

1位「東京大学」367名

2位「京都大学」169名

3位「早稲田大学」130名

4位「北海道大学」109名

5位「慶應義塾大学」89名

6位「東北大学」83名

7位「立命館大学」80名

8位「中央大学」79名

9位「大阪大学」62名

10位「九州大学」56名

 

この国家公務員の総合職、つまりキャリアと呼ばれる中央省庁の幹部候補において、東大離れが起きていることが話題になっています。国家公務員試験合格者数の15%と、いまなお圧倒的な存在感を占めていますが、過去10年あまりの合格者の推移をみていくと明らかに減少傾向。下げ止まりともいわれていますが、2019年度までは300人以上、2016年度以前は400人以上の合格者を出していたのと比べると、東大生の官僚志向は確実に減っています。