スキャナ保存=「紙を電子データにして保存」
スキャナ保存は、紙で受け取った取引関係書類を電子化して保存する際の区分です。具体的には、手土産や備品を購入したときに受け取ったレシート、飲食店で受け取った領収書、郵送で送られてきた請求書などを電子データで保存するとき、スキャンをしたり、スマホのカメラで撮影をして電子化して保存します。
スキャンして保存するだけなので、簡単そうに見えますが、下記の図表3のとおり、スキャナ保存には守らなくてはいけないルールがたくさんあります。なかには、スキャンをする際に、書類の改ざんを防止するタイムスタンプの付与を義務づけていたり、訂正や削除の履歴が残るシステムを使う……など、簡単には導入できないルールも。
ルールは年々緩和してきていますが、今のところ、独自のシステムを使って書類を保存したり、スキャナ保存に対応した有料の会計システムを導入している会社以外は、対応が難しいと言われています。
また、保存をする取引関係書類を、物やお金の取引に直接関係する重要書類と、それ以外である一般書類で分けており、それぞれ保存のルールが異なります。
どうしてスキャナ保存だけ、これほど厳しいルールが設けられているのでしょうか。それは、スキャンをした書類を廃棄してしまって、あとからスキャンミスが見つかったら取り返しがつかないことになるからです。
電子データ化した書類の文字が読めない、画像が切れていた……というミスが発覚しても、原本を捨ててしまっていてはどうすることもできません。スキャナ保存はルールが厳しいこと、そしてスキャナ保存をする際は特に慎重に、ということをしっかり覚えておきましょう。
「スキャナ保存」のルールで保存する書類
相手から郵送や手渡しなど、紙で受け取った書類はスキャナ保存のルールで保存します。
◆スキャナ保存のフロー
①お店の領収書や請求書などを紙で受け取る。
②読み取り・保存し、タイムスタンプを付与して経理へ提出。
★Point★
スキャナ保存は原則、「紙で受け取った書類」が対象!
◆スキャナ保存の保存ルールはコレ!
スキャナ保存は書類の解像度や、カラーで保存する場合など、守るべきルールがたくさん。そのなかでも、水色のアンダーラインがついている項目は、会社員の実務にかかわりそうなことです。
ここでは、「スキャナ保存は、そのほかの2つに比べて、こんなにルールがあるんだ!」程度で大丈夫。
☆ Memo 重要書類と一般書類って? ☆
重要書類とは、お金や物の流れに直結する書類で、領収書や請求書、契約書、納品書等です。一般書類は、資金や物の流れに直結しない書類で、見積書、注文書、検収書など重要度が低い書類のこと。
《Key Word》
タイムスタンプ
手続きが行われた時刻や電子文書の存在した日時を証明するサービス。
重要書類
請求書など、お金や商品の流れに直結する取引の情報が書いてある書類。
中島 典子
税理士、社会保険労務士、CFP
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