認知バイアスに左右されない判断能力の鍛え方
認知バイアスは、人間の本能的な部分でもあるため、意識して意思決定を行う必要があります。特にFXでは、金銭的な評価も加わるため、普段の行動以上に意識的にトレードを行う必要があります。
認知バイアスに左右されない判断能力は、「合理的に意思決定を行うこと」で鍛えることができます。経験の良し悪しやそのときどきの気分に合わせるのではなく、過去の事例をいまどのように活かせば、優位性の高いトレードができるかを考えるべきです。
「数年前の事例より、最近起きたことのほうが現在のトレードに活かすことができる」と考えることは、その時点で直近バイアスに陥っている証拠です。トレードに活かせるかどうかの判断基準は、いつ起きたかではなく、どのような状況下で起きたのかです。
FXは、同じ値動きがもう一度起こることはありません。しかし、相場の条件が揃えば、同じような値動きが訪れることがあります。過去のトレードを振り返ることは、値動きのパターンを見つけ出すために必要なことでしょう。最近のことだけではなく、過去にも同じようなことが起こらなかったか調べることで、客観性の高いトレードを行うことができるでしょう。
客観性を意識するだけでトレードの成績は大きく変化する
今回は、数ある認知バイアスのなかでも、直近の出来事に重要性を感じてしまう直近バイアスについて解説しました。また、FXで継続的に利益を出し続けるためには、認知バイアスを理解したうえで、客観的なトレードを行う必要があることも解説しました。
生活していくうえで、直近に起こったことは記憶に新しく、非常に有益な経験であったと考えてしまうのが人間の本能です。しかし、トレード分析を行ううえで大切なことは、客観的な分析をもとに合理的な判断を行うことです。直近バイアスに基づき、記憶が新しいからという理由で、トレード判断を行うと思いもよらぬ場面で損失を被ってしまいます。
マメにトレード記録を付けていて向上心のあるトレーダーほど、直近バイアスに陥ってしまうと抜け出せなくなる可能性が高まります。いま、十分にトレード成績が出せていない人は、自分がトレード判断をする際に客観性を保てているかどうかに着目するとよいでしょう。
清水 一喜
株式会社ソーシャルインベストメント
執行役員