トレード記録の落とし穴
FXを始めたばかりの人や、自分のトレード手法が確立していない人で、トレード記録をつけている人は多いでしょう。トレードの記録は、同じミスを立て続けに行わないための抑止力となります。また、新しい手法を取り入れる際に、トレードの優位性を検証するための有力なデータとなることもあります。
そのため、トレード記録をつけている人とそうでない人を比べたときに、トレード記録をつけている人のほうが格段にトレードの上達スピードが早い傾向があります。
しかし、トレードの上達には欠かせないトレード記録ですが、トレードにおける「認知バイアス」を意識していないと、かえって上達スピードが遅くなってしまう可能性があります。
人間には過去に起きた経験よりも、直近で起きた経験を判断材料にするという認知バイアスがあります。この認知バイアスを知っているかどうかで、トレードの上達速度は格段に違ってくるでしょう。「直近バイアス」に陥った初心者トレーダーの例をもとに、優位性のある分析とはなにかを考察していきましょう。
「直近バイアス」に陥る初心者トレーダー
直近バイアスとは、意思決定をする際に合理性や理論よりも直近の経験を判断材料に用いてしまう認知バイアスのことです。
直近の経験が、その時点で合理性を持った経験であれば問題ありませんが、まったく役に立たない非合理的な経験であったとしても、意思決定に影響を与えてしまいます。直近バイアスによってもたらされる認知の歪みは、日々のトレードで大きな影響力を持っているのです。
自分のトレードを随時記録している初心者トレーダーは多いでしょう。積み上げた記録をもとに、次のトレードの戦略を立てるトレーダーは多いはずです。
直近バイアスに陥ってしまったトレーダーは、トレード記録の直近の部分に重きを置いてトレード分析を行います。直近バイアスに陥ってしまうと、過去に記録した良質なトレード記録も意味がなくなってしまうのです。
さらに、直近で非合理的なトレードを行なっていれば、トレードルールに逆らったトレードであっても正当化されてしまう可能性があります。トレードの記録を付けているのにも関わらず、収益が安定しないトレーダーは、一度自分が直近バイアスに陥っていないか確認してみるといいでしょう。