投資の世界においてはときに、過去の“成功体験”が大きな損失を招くことがあります。長期的に利益を積み上げていくには、どんな心構えが必要なのでしょうか。本稿では、テクニカル分析の解説サイト『テクニカルブック』を運営する株式会社アドバンの代表取締役・田中勇輝氏が、FX取引を長く継続する上で意識すべき6つのポイントについて解説します。
損切りせずに助かった“成功体験”が仇に…〈ビギナーズラック〉で資産倍増の33歳・公務員「FXって簡単じゃん」→一転「200万円負け」に陥ったワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

FXで退場しないために意識したい6つのポイント

今回は、FXデビューからトントン拍子に資産が増えたものの、その後はズルズルと負け続けて200万円の損失を出すことになった30代公務員男性のエピソードを紹介しました。FXを始めたものの、こういった形でやめることになる人は少なくありません。

 

最後に、このエピソードから学ぶことができる、FXで退場しないために意識しておきたいポイントを6つ紹介します。

 

トレードルールを作る

自分の感覚で「なんとなく」トレードをしていては、FXで勝ち続けることはできません。どうなったらポジションを持って、いつ利食い・損切りをするのか、客観的なルールを決めましょう。そのためにはチャートを読むスキルが必須です。マニアックな知識は必要ありません。チャートに関する定番の知識をしっかり身に付けましょう。

 

トレードルールを守る

トレードルールを作ったら、それをしっかり守るようにしてみましょう。せっかくルールを決めても、守らなければ意味がないからです。FXにおいてルールを破ってしまうのは、何らかの理由で冷静な判断ができなくなっているためです。常に冷静にトレードできるように心がけましょう。

 

身の丈に合った取引数量にする

FXでは、取引数量が大きくなればなるほど勝ったときの利益が大きくなりますが、負けたときの損失も大きくなります。退場しないためには損失をいかにコントロールするかが重要。資金管理・リスク管理について学んだ上で、トレードは身の丈に合った取引数量で行うようにしましょう。

 

負けるべきときは素直に負ける

FXで負ければ資金を失うため、誰しも勝ちたいと考えているもの。しかし、FXでずっと勝ち続けるのは不可能で、必ず負けるときがあります。大切なのは、勝ったり負けたりしながらトータルでプラスにすること。トレードルールに従って、負けるべきときには素直に負けることも必要です。

 

損切りのシナリオも考えておく

FXを行う目的は利益を出すことですから、トレードの際、利食いにばかり意識が向いている人が多いのではないでしょうか。しかし、大きな損失を出して退場しないために大切なのは、適切なタイミングで迷いなく損切りすること。相場が想定しない展開になってからどうするのか考えるのではなく、あらかじめ損切りのシナリオも頭に入れておきたいところです。

 

失敗を振り返って改善する

トレードルールを作っても、いきなり上手くいくことは少ないでしょう。トレードを行って利益と損失を出しながら、どうすれば利益を大きくできるのか振り返って改善することが大切です。この振り返りは、リアルトレードを通じてだけでなく、過去チャートでバックテストを行う形でも構いません。FXに取り組む際は、トレードルールを改善し続けることを意識してみましょう。
 

FXは利益を奪い合うゼロサムゲームであり、なんとなくトレードするだけで勝ち続けることはできません。上記の6つの点を意識して、大きな損失を上手に回避しながらスキルを磨き続けていきたいものです。