電気代の請求書を見て「たかっ!」と叫ぶ人が続出した昨年の冬。今年はどうかといえば、やっぱり「電気代が高すぎる!」と大半の人が感じているようです。そんななか、影響が大きいのが、収入の手段が限られる高齢者。なんとも悲惨な現状をみていきましょう。
今年も目を疑いました…平均年金22万円・高齢夫婦「高額の電気代請求」に悲鳴「どうやって生きていけば」

年金への依存度が高い「高齢者」に物価高直撃!さらに年金目減りの二重苦

去年に限らず、今年も電気代が高く、目を疑う機会が多そうな気配。そんななか、生活苦に追い込まれているのは高齢者世帯。「今年も電気代が高いわねぇ」とため息をつきながら、ギリギリの生活を強いられています。

 

厚生労働省『令和4年 国民生活基礎調査』によると、高齢者世帯のうち、44.0%が「所得のすべてが高年金」、16.5%が「所得の80~100%」と回答しています。高齢者世帯がいかに年金に依存しているか、わかるでしょう。

 

厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金保険(第1号)の老齢給付の受給者の平均年金月額は、併給の老齢基礎年金を含めて老齢年金が14万4,982円。65歳以上の受給権者の平均年金月額は、男性が16万7,388円、女性が10万9,165円でした。また国民年金の老齢年金受給者の平均年金月額は5万6,428円。また基礎のみ、共済なし・旧国年の老齢年金受給者の平均年金月額は5万1,607円でした

 

*裁定手続きにより年金もしくは一時金を受ける権利(受給権)が確定した人を受給権者、受給権が確定し実際に給付を受けている人を受給者という

 

この年金額で足りるか、足りないのかは、ライフスタイルや住んでいる地域などによって変わりますが、平均値の年金額で十分かといえば、そうではない金額であることは明らか。

 

厚生労働省では、2024年度の公的年金の支給額を23年度に比べて2.7%引き上げると発表。満額支給の国民年金(老齢基礎年金)は、令和5年「66,250円」→令和6年「68,000円」、モデル夫婦の厚生年金(夫婦二人分の老齢基礎年金含む)は、22万4,482円→23万0,483円に増えました。

 

――やった! 年金増額

 

と喜べるのかといえばそんなことはなく、年金額の伸びを抑える「マクロ経済スライド」も2年連続で発動されるため、年金額は実質マイナス。なんら喜べる状態にはないのです。

 

また今の財政計画では厚生年金は約2割、国民年金は約3割、その水準を引き下げなければ年金財政が維持できないとしており、もはや年金減額は既定路線です。

 

年金に依存する高齢者。物価上昇に弱い家計構造であることが、この物価上昇で改めて明らかになりました。さらに今後は、年金減額が確実。そんななか「どうやって生きていけば……」と路頭に迷う高齢者は、今後ますます増えていきそうな気配です。現役世代ができることといえば、老後見据えた資産形成をコツコツと進め、年金への依存度を下げることしか方法はありません。

 

[参考資料]

日本トレンドリサーチ『この冬の電気代どうですか?』電材ネット(https://www.denzai-net.jp/)

厚生労働省『令和4年 国民生活基礎調査』

厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』

厚生労働省『令和6年度の年金額改定について』