現金がない、親が一人暮らしをできない…ほかの人はどうしているの?
平成30年の内閣府の調査では高齢者の持ち家率は88.2%、3大都市圏の全持ち家率は50%(全国平均も60%総務省調査平成20年)。前者と後者を比較すると大きな乖離があり、高齢者には少なくとも家がある方が多いです。
そのため、たいていの人が家を売って有料老人ホームに入居し、特養などを順番待ちする方がほとんどです。そのため老人ホーム紹介業の親会社の多くが不動産会社であり、積極的に自宅の売却や銀行と提携したリバースモーゲージを提案しています。
リバースモーゲージは、家を担保とした借金です。多くの親世代が存命中には自宅にいつか戻れることを期待するため、リバースモーゲージやリースバックといった金融商品を利用します。しかし、銀行の査定額は時価の6~8割なので、リバースモーゲージやリースバックを利用した段階で、自宅をたたき売りしている状況になるのです。
実際に年金額が月9万円、貯金がゼロという状態の80代の単身世帯の方が、リバースモーゲージを利用し老人ホームへ入居した例があります。リバースモーゲージは、担保不動産の評価額を定期的に見直します。見直しによって不動産評価額が下落した場合、融資限度額も下落するのです。この方は、契約した当初、融資限度額ぎりぎりまで借入をしていました。入所中に融資限度額が下落してしまい、融資限度額を超えた借入と判断されたのです。融資限度額以上の借入をしてしまうと、差額の一時返済を求められます。この方は、結果的にご自身の子どもに負担をかけるかたちとなってしまいました。
お金が足りないだけで気軽にリバースモーゲージなどを利用すると、のちのち子どもと同居できないなど、いろいろな制約がありますし、解約にはかなりの違約金が発生しますのでご注意ください。
伊藤 敬子
株式会社ハピネスランズ 代表
老後資金アドバイザー