日本人の海外留学者数が再び増加しています。ますますグローバル化する社会に対応するためには、やはり語学、とくに英語力は将来の選択肢を広げる重要なスキルといえるでしょう。現地に留学をするのか、国内で英語を学習するのかは悩ましいところであり、子どもと親で意見が分かれることもよくあります。本稿ではファイナンシャルプランナーの阿部瞳氏が、帰国後の就職活動に直結しやすい大学生の留学を例に、現地留学とオンライン留学のメリット・デメリットについて解説します。
親「海外に行かせてあげたい気持ちはあるが」…現地留学の総費用は平均217万円。“コスパ重視”の〈オンライン留学〉はアリか?【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

そもそも留学で得られる効果とは?

留学先の国やプログラム、学校などによって差はありますが、留学には相当な費用がかかります。

 

そもそも留学を通じ、どのような力を身につけられるのでしょか。代表的なものを3つ挙げてみます。

 

語学力

現地留学、オンライン留学ともに英語で授業を受けますが、現地留学では普段の生活そのものがすべて語学の勉強で、実践の機会となります。一方、オンライン留学では、授業以外の日常生活で、家族や友人とは日本語で会話をします。

 

コミュニケーション力

外国から日本に来る人は、日本に興味があり、日本語もある程度話せるケースも多いため、コミュニケーションを取るのは比較的容易です。一方、相手が日本や日本人に興味があるとは限らない相手とのコミュニケーションには一筋縄にはいかない場面も。現地への留学でもオンライン留学でも、授業内でさまざまな国の人たちと交流するなかで、バックグラウンドの違いを乗り越え、意思を通わせる力を身につけられるでしょう。

 

行動力

どんな方法で留学するにしても、自ら調べて手配をする……といった準備が必要です。さらに現地では、留学先の学校や宿舎の学生たち、ホームステイ先の家族や近隣住民との交流など、積極的に外出や交流の機会を持つことが大切です。この過程で、自ら行動を起こしていく力が身につきます。

 

語学を身につけることだけが目的であれば、日本国内でのオンライン留学でも十分かもしれません。ただし、海外での生活や文化に触れることで得られる経験値は、実際にその国に滞在しなければ得られないものであり、将来の目標に大きな影響を与え、大学生にとっては就職活動でのアピールにもなるはず。

 

子どもはやはり、現地への留学を希望するかもしれません。

留学のためには家計の準備が不可欠

留学には大きなコストがかかりますが、実際に留学をした人は、どのように資金を調達しているのでしょうか。平成30年度版の「海外留学経験者追跡調査」をみると、留学の資金調達方法について、「家族の援助」がもっとも多く54.1%。次に「すべて自費」(29.2%)、「日本の在籍校の奨学金」(11.3%)が続きます。

 

子どもの教育プランのなかに留学の選択肢があるならば、家計の準備が必要不可欠です。ポイントは早めに準備を始めること。奨学金制度の活用など、具体的な対策についての情報収集をしておくことも重要です。具体的な留学準備をする前に、留学費用を組み込んだライフプランを立ててみましょう。そうすることで、どんな準備や対策が必要なのかをより明確にすることができます。

 

子どもの将来の選択肢を広げる意味でも、留学を考える親は多いでしょう。現地留学とオンライン留学、それぞれにメリット・デメリットはありますが、いずれにしてもお金がかかるのは事実です。

 

せっかく留学するなら事前に情報収集と計画をしっかり行い、費用対効果を最大にしたいものです。