(※画像はイメージです/PIXTA)

Hさんの実家は、代々続く資産家です。厳格な父親を嫌い、実家とは距離をとっていたHさんですが、父の急逝により突然相続を受けることになりました。しかしある原因から、Hさんは家計破産の危機に……いったいなにがあったのか、牧野FP事務所の牧野寿和CFPが、具体的な事例を通じて原因と解決策を示します。

親不孝のHさんだったが…父からの「意外な遺言内容」

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

その後、バタバタと葬儀や法要を済ませた頃、母はHさんと妹(45歳)に、1枚のメモ用紙を見せました。母によると、遺産分割の遺志を書いたものであると言います。

 

Hさんは父に対して長年不義理だったので「何ももらえないだろう」と思いましたが、一応確認してみることにしました。

 

出所:筆者作成
[図表1]父の遺言に書かれていた遺産分割の内容 出所:筆者作成

 

どうやら父には、Hさんにも相続の遺志があったようです。Hさんには、「アパートBの土地建物と現金を相続する」と書かれていました。

 

なお、Hさんと妹に相続する現金は、相続税納付と諸経費相当分で手元にはほとんど残りません。しかし今後はそれぞれに、アパートの家賃収入が入ります。また母は、配偶者の税額軽減制度により課税はされません。

※詳細は国税庁HP「No.4158 配偶者の税額の軽減」を参照

 

同時に、母からも兄妹に自身の資産分配について以下のように話がありました。

 

出所:筆者作成
[図表2]母の遺産分割案 出所:筆者作成

 

父は生前、母を連れて知り合いの税理士Bさんに相談しており、母の相続(いわゆる「2次相続」)も考慮しあらかじめ上記の内容に決めていたそうです。Hさんと妹はこの一連の話を受け、特に異論なくどちらの内容についても了承しました。

 

しかし、Hさんは母から、実家を相続した場合、固定資産税額や修繕費などの維持費が相当な金額になることを聞きました。

 

Hさんは、「もしかして、その資金がなければ実家を手放すことになるのか」と心配になりました。Hさんは父ほど稼ぎがなく、子どもたちの教育資金や自宅の住宅ローンなどで手一杯の状況です。実家は手放したくないけれど、維持費を捻出するあてもない……Hさんは自分が置かれている八方ふさがりの状況に絶句してしまいました。

 

困りはてたHさんは母に紹介してもらい、税理士Bに相談。その後、Bと知り合いである筆者のFP事務所を訪ねました。

 

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本記事は、株式会社クレディセゾンが運営する『セゾンのくらし大研究』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。