高齢の両親だけの二人暮らしは何かと不安。それであればバリアフリーが施され、医療や介護の体制が整っている「老人ホーム」への入居も有力な選択肢です。ただ心配なのは、その費用。いったいいくらかかるのか、誰が負担するのか……不安はつきません。さらに「親のお金だけで払える」となっても、安心はできないといいます。みていきましょう。
年金月30万円の両親だったが「うっ、嘘だろ」と長男、絶句…思わず二度見する「驚愕の老人ホーム請求額」

「老人ホーム費用」が引き落される預金口座を「長男が二度見した」ワケ

バリアフリーの住まい、何かあったときに安心な24時間の医療体制、費用も年金だけでカバー……高齢の親も、その子どもである男性も、安心の毎日を送っていたといいます。そんな平穏な日々が破られる日が訪れます。

 

――初めてみたときは、思わず言葉を失い、二度見してしまいました

 

二度見したのは、両親から管理を任されている預金口座。その口座から、毎月、老人ホーム費用が引き落とされていました。先月までの引落し額は29万円強。それが今月の引落し額は39万円。なんと10万円も多かったのです。

 

実はこの物価高のなか、老人ホームとしても費用を上げなければやっていけないと、事前に値上げについての連絡を受けていたといいます。「なんでも値上げの世の中だから、仕方がない」と細かな説明は聞いていなかったという男性。そのため、あまりの値上げ幅に言葉を失ったというわけです。

 

あとで明細をチェックしたところ、「食費」が40%、「管理費・水道光熱費」が30%ほどアップしていたのが大きいといい、またその他サービス料も軒並み10~20%程度値上がりしていたといいます。

 

両親の年金だけで賄うことができた「老人ホーム費用」。それが毎月10万円程度の赤字になるというインパクト。

 

――両親には貯蓄もあるので大丈夫ですが、どれくらい取り崩すことになるのか

――いつか貯蓄が底をつくかもしれない。両親には長生きしてほしいけど……

 

なんとも複雑な胸中を綴っています。

 

株式会社TRデータテクノロジーが老人ホーム等500社に調査したところによると、2022年1月以降、月額費の値上げを行った法人は全体の26%と、4社に1社にのぼりました。

 

総務省によると、昨年11月の消費者物価指数は生鮮食品を除いた指数が2020年平均を100として去年11月の103.8から106.4に上昇。上昇率は2.5%でした。物価高がいつまで続くのか誰にも分からないなか、今後、老人ホーム費用もさらに値上げされるかもしれません。

 

健康で長生きすることは喜ばしいこと……と素直にはいえない時代になりました。

 

[参考資料]

厚生労働省『令和5年度の年金額改定についてお知らせします』

株式会社Speee/ケアスル 介護『介護施設の費用に関するアンケート調査』

株式会社TRデータテクノロジー『ランキング上位500社 有料老人ホーム等の月額管理費・食費改定の動き~』

総務省統計局『2020年基準 消費者物価指数 全国 2023年(令和5年)11月分』