若者がターゲットにされる多くのトラブル
なお、消費者庁も「若者の消費者トラブル」として、PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)の調査結果を公開しています。これを見ると、若い方でも多くのトラブルに巻き込まれているのがわかります。
※出所 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2022/white_paper_137.html
暗号資産(仮想通貨)トラブルで親に泣きついた大学生
地元を離れて初めて都会で一人暮らしを始めたばかりの大学生が格好のターゲットとなってしまったケースをご紹介します(プライバシーを考慮して脚色しています)。
東京の私立大学に通うAさん(18歳)は、地方では有名な100年以上も続く菓子舗の息子さんです。Aさんは入学後、大学併設の寮に入りました。入学してしばらくは初めての東京での暮らしや大学生活を満喫していましたが、新型コロナの影響で実家の経営も大変になってしまったころ、事件が起こります。
「実家も大変だし、アルバイトを増やそうか」と思っていたころにSNSで知り合ったBさんから“アルバイト”の紹介を受けます。その内容は、「暗号資産で投資をするとAIの自動運用で月々10万円の配当がある。人を紹介するとさらに紹介料が入る」といったものでした。10万円もあれば親も助かるだろう、と思ったAさんは、言われるまま学生ローンを組んでBさんに50万円を渡してしまいます。
アプリ上で見ると金額が増えていたこともあり、その後も追加で投資しました。しかし、実際に配当を受け取ることはなく、Bさんに連絡しましたが、「現在出金手続きを停止している」「解約できない」と言われるばかりです。そのうち連絡も取れなくなり、どうしようもなくなったAさんは「父さんには言わないで」と母親に泣きながら電話します。厳しくて、怒ると恐ろしい父には内緒にしておきたかったのです。母親が寮までやってきたので、Aさんは今回の話を打ち明けることができました。
しかしこれにより、結局父親にもバレてしまいました。父親には弁護士に相談してもらったりローンの返済をしてもらったりで大きな迷惑をかけるとともに、Aさんは大目玉をもらうことになりました。ショックを受けたAさんは大学を辞めて地元に帰ることも考えましたが、母親から「お金のことは考えなくていいからしっかり勉強しなさい」と言われ、頑張ることにしたそうです。
Aさんは親に相談できましたが、なかには親にも相談できず、犯罪に巻き込まれてしまう若い人も多いものです。日ごろからの相談しやすい関係作りも大事ですね。なお、次のような相談先がありますので、ご紹介しておきます。
川淵 ゆかり
川淵ゆかり事務所
代表