「賃貸」か「持ち家」か……ライフステージが上がってくると、必ず持ち上がるこの疑問。なかには、「賃貸で高い家賃を払い続けるより、ローンを組んで中古マンションを買ったほうがお得!」と謳うウェブサイトもあります。しかし、安易にマンションを購入すると、思わぬ「破産危機」に見舞われてしまうことも……。FP Officeの須藤雅FPがAさんの事例をもとに「マイホーム購入時の注意点」について解説します。
「家賃より安いから」→まさかの事態で破産危機…世帯年収950万円の30代夫婦が戦慄した「住宅ローン返済額」【FPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

マンションは手放したくない…支出とライフプランの見直しで破産を回避

2人は購入したマンションの売却も考えましたが、立地もよく快適であることから「なるべく手放したくない」とのこと。そこで、まず生活費の見直しを図り、その後収入を増やすことは可能かを考えることにしました。

 

食費や交際費、保険料、通信費などを見直した結果、

 

  • Bさんが家計を管理し、Aさんはお小遣い制にする
  • 持ち家の団信があるため、余分な生命保険を解約する
  • 夫婦で格安スマホに変更する

 

といった改善により、月々6万円ほど削減することができそうです。

 

560万円-(生活費579万円)=-19万円

 

保育料がかかる3年間の収支合計を-57万円まで抑えることができました。300万円の貯金から赤字分の57万円を取り崩したとしても、243万円が残ります。

 

保育料がかからなくなる4年目以降は

 

560万円-(生活費535万円)=25万円

 

収支がプラスへと転じました。

 

扶養内で働く予定のBさんですが、その後、お子さんが小学校へ入学するころに合わせフルタイム勤務の職場に転職することで、300万円の年収を見込めます。そうすると、AさんとBさん2人合わせたの可処分所得は670万円前後となります。

 

670万円-(生活費535万円)=135万円

 

住宅費の負担が大きかったA夫妻ですが、支出を見直しライフプランを立て直すことで、マイホームを売ることなく破産を免れる生活の道筋を立てることができました。

 

まとめ

今回の試算では家計破綻が免れる見込みですが、実際には物価上昇による生活費の上昇やAさんの収入増加など、収支が変動する要因がほかにもいくつかあります。

 

とはいえ、A夫妻は今回の試算で現在の収支と今後の見通しが具体的にわかったことで、「せっかく買った自宅を手放したくないという思いと、自分たちができることがまだまだ残されているということに気づきました。相談してよかったです」と微笑みました。

 

マイホームは多くの人にとって、大きな買い物となります。そのため、各制度をよくご理解のうえ、自分のライフプランを踏まえて最適な方法を見出すことが理想的です。

 

その際は、ファイナンシャルプランナー等のお金の専門家にも意見を聞きながら計画を立てることをおすすめします。

 

 

須藤 雅

FP Office株式会社

ファイナンシャルプランナー