(※画像はイメージです/PIXTA)

焼く、煮る、揚げる、茹でる。調理法にはいろいろとありますが、その中でも今回取り上げるのは「蒸し料理」。クリニック院長でもあり、分子栄養学の専門家でもある安藤麻希子先生によれば、「蒸し料理は医学的効果がとても高い料理のアプローチ法」とのこと。これまであまり着目されてこなかった蒸し料理の美容・健康効果についても教えていただきました。※本稿は、健康、食、暮らしをテーマに、専門家による「すぐに役立つ」情報を届けるサイト『AUX Magazine』からの転載記事です。

蒸し料理をするときの注意点

 

つけダレの濃さに注意

とてもシンプルに仕上がる調理法なので、付けダレの味付けが濃くなって塩分過多になることも。食べる人に合わせて味付けを調整しましょう。

 

脂質の減らし過ぎに注意

徹底したヘルシー志向の方でたまにあるのが、油を減らし過ぎてしまうことで必須脂肪酸や脂溶性ビタミンなどが不足しているケース。例えば脂溶性ビタミンであるベータカロテンを含むニンジンなどを蒸す場合は、良質の油を垂らして食べるのもおすすめです。

 

電子レンジ使用時の注意点

電子レンジを使った調理は高温になりすぎるためAGEsが発生しやすいと言われているのであまりおすすめはできません。


どうしても電子レンジを使用して蒸す場合は、使う容器に注意してください。プラスチック製容器の中には、電子レンジの使用でプラスチックの有害成分が溶け出してしまうものもあります。できるだけ耐熱性のあるガラス製や瀬戸物などを使いましょう。

 

蒸す時はなるべく低温で

食材にもよりますが、なるべく低温かつ短時間で蒸すことで糖化が抑制できたり、栄養価をキープしやすくなります。

蒸し料理におすすめの食材

基本的にはどんな食材でも蒸すことができます。中でも野菜は健康的なメリットが大きいのでおすすめです。ここでは蒸すことで特に大きな効果が得られる食材をご紹介します。

 

白菜

蒸すことでギャバが8倍、アラニンが2倍に増えます。どちらもアミノ酸の一種で、ギャバにはリラックス効果があり、アラニンは生体のエネルギー生成に必要なアミノ酸です。

 

大豆

水煮で売っていることも多い大豆。蒸し大豆にすることでオリゴ糖やビタミンB群は水煮の約2倍、ギャバは8倍になります。

 

ほうれん草

低温で蒸すことによって、もともと持っているビタミンCが2倍に増えます。

 

 

ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜

アブラナ科の野菜には、抗がん作用があるファイトケミカルの一種、イソチオシアネートが含まれています。これは長時間の加熱調理の過程で失われやすい栄養素ですが、蒸すことで保持できます。

 

さつまいも

オーブンや炭火などで焼くことも多いさつまいもですが、蒸すことで糖化を抑制できます。また電子レンジで加熱するよりもゆっくりと熱を加えることができるので、甘みが増します。

 

唐揚げの鶏肉

上記5つとは少し異なりますが、唐揚げを作る際に鶏肉を一度蒸してから衣をつけて揚げると、加熱時間が短くなってAGEsの発生が少なくすみます。

ご家庭でもぜひ蒸し料理を

このように蒸し料理にはさまざまな健康面におけるメリットがあり、同じ食材を調理するのでも、栄養がアップしたりキープできたりします。

 

今まであまり蒸し料理をやってこなかった方も、コンパクトな蒸し器がひとつあるだけで簡単に蒸し料理をすることができます。ぜひチャレンジしてみてください。