蒸し料理は老化物質「AGEs」を増やさない調理法
どうして糖化は体に良くないのか
「蒸す」という調理法には栄養学の観点から見てもさまざまなメリットがあります。その中で最も注目していただきたいのが「糖化を抑制できる」ということです。
「糖化」とはタンパク質が糖と結びついて変性して劣化することを言います。糖化をイメージするためによく用いられるのがパンケーキの例です。パンケーキは焼くとこんがりと色づいてきます。これは砂糖と牛乳や卵などのタンパク質が加熱によって結びついて変性し、コゲになって現れます。この現象を「糖化」または「メイラード反応」と呼び、変性してできたものをAGEs(終末糖化産物)といいます。
AGEsは、皮膚や血管の老化やさまざまな病気の引き金になると考えられています。
蒸し料理で「糖化」を抑制できる理由
体内に貯まるAGEsには「内因性AGEs」「外因性AGEs」があります。
甘いものを食べて血糖値が高くなり体内で作られるAGEsを内因性AGEsといいます。また食べ物にもAGEsは含まれていて、その一部が体内に吸収されます。
AGEsは調理法で左右され、食材の糖化は、加熱時間と熱(温度)のかけ算によっても進みます。
高温での調理ではAGEsがより多く発生します。例えば揚げ物やオーブンで焼くととても高い温度で調理することになりますね。そうするとより多くAGEsが発生します。
その点蒸し料理というのは、熱を加えても比較的AGEsの発生が抑えられる調理法です。特に70度前後の低温蒸しはおすすめです。
蒸し料理はどんな効果があるの?
蒸し料理は糖化抑制の他にもさまざまなメリットがあります。
栄養素が流出しにくい
例えば温野菜を作る時に、野菜を茹でてしまうとお湯の中に水溶性ビタミンやミネラルが流れ出てしまいます。ビタミンCの場合は、茹でたり煮ることで40〜50%が流れ出てしまいますが、蒸せば損失は20%ほどに抑えられます。
栄養素がアップする食材もある
蒸すことで、アミノ酸やビタミンなどが増える食材もあります。
油の使用を減らせる
基本的にはノンオイルで調理できますので、油の使用を控えたい人には蒸し料理はおすすめです。肉なども余分な油を落とすことができます。
調味料の糖分を控えられる
食材によっては煮たり茹でたりするよりも素材そのものの甘みが増すので、その後に使用する調味料の糖分を控えることができます。