岸田総理が掲げる「異次元の少子化対策」の財源確保策として、高齢者の3割負担の対象を拡大する案が検討されています。緊急を要する少子化対策のため、仕方がないという声が多く聞かれますが、この案に言葉を失う人たちも。みていきましょう。
少子化対策の財源「高齢者の窓口3割負担拡大」に絶句…平均月収25万円・46歳〈氷河期世代〉の非正規「また俺たち、見捨てられたよ」 (※写真はイメージです/PIXTA)

何の支援もなかった「氷河期世代」…自身が高齢者になった頃にはまさかの負担増

氷河期世代はバブル崩壊後の1993年から2005年卒業で、その間に就職活動を行っていた人たち。2023年現在、40代~50代前半が該当し、なかでも就職が厳しかったのは2000年。就職氷河期とされる間でも、大卒の求人倍率が唯一、1.0を切った年でした。また大卒就職率は9割でしたので、1割は「大学を卒業しながら、就職できなかった……」という人たちだったのです。

 

就職からあぶれた人たちは、正社員になることを諦め、多くが非正規社員として社会人生活をスタートさせます。雇用環境が良くなったのは2006年あたりから。そのタイミングで正社員になれたなら万々歳。すぐにリーマンショックが起き、雇用環境は氷河期並みに落ち込みます。

 

再び雇用環境が改善するのは2013年ごろ。そのころは、すでに30代。雇用環境は良くなってきたとはいえ、正社員経験のない30代は就職に不利。「えっ、正社員の経験ないの? じゃあ何ができるの?」と門前払いされるケースも。結局、いまも不安定な就労状況下に置かれている人たちが大勢いるわけです。

 

2000年卒。現役で大学に入学し、ストレートで卒業していたら、2023年は46歳になっています。厚生労働省の調査によると、46歳の正社員(大卒・男性)であれば平均月収46.0万円、年収756.4万円。会社員として給与がピークに達する50代に向けて、まさに上り調子といったところ。一方、いまだに低空飛行を続ける46歳の非正規社員は月収で25.7万円、年収で352.5万円。「新入社員ですか⁉」というような薄給で働いています。

 

不遇の世代に、スポットライトがあたり始めたのはつい最近のこと。単なる個人の問題だけでなく、社会全体への影響が顕在化してきているためです。まず婚姻率の低下に伴う、出生率の低下。結婚適齢期とされるときに「低収入で結婚なんて考えられない」という氷河期世代が続出。少子化を加速させた原因とされています。

 

さらに氷河期世代がこれから経験するのは「親の介護問題」。低収入なのに親の介護に時間がとられ、ときには仕事を辞めざるを得ない場合も。親の介護から手が離れたころには、自身はもう高齢者。低収入に加え、親の介護のため十分な老後資金を貯めることができず、自らの老後は貧困との戦いになる……そんな未来が待っているのです。

 

そんな状況に対して賃上げや人材育成など、支援が叫ばれるようになりました。ただ上手くいっているかというと疑問符がつくようです。

 

――現役時代は大した支援もなく、苦しかった……大変だった。だからせめて老後くらいは

 

そんな想いを抱いて氷河期世代はいま頑張ってきたわけです。しかし、そこにきて高齢者の負担増。彼らのささやかな願いは早々に崩れ去ってしまいました。

 

団塊の世代やバブル世代の負の遺産を背負わされ、少子化対策もほとんど受けられず、岸田総理が掲げる「異次元の少子化対策」の財源確保策で、少子化対策の負担も背負わされる……しかも、今回の負担増はまだ序章に過ぎず、高齢者のさらなる負担増は既定路線、という声も。なんとも救いようのない話です。

 

[参考資料]

厚生労働省『後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)』

厚生労働省『令和4年 賃金構造基本統計調査』