不動産投資で中古物件を購入する際に知っておきたい「インスペクション」。平たく言えば、第三者による住宅の検査のことです。以前はなかったインスペクションの制度がなぜ導入され、義務化されたのか。また、活用にはどのようなメリット・デメリットがあるのか。本記事では、中古物件購入時のインスペクションについて詳しく解説します。
中古不動産投資における〈インスペクション〉…「義務だから」利用するわけではない理由【不動産投資のプロが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

インスペクション実施の流れ、費用相場

続いて、インスペクションを実施する場合の流れや所要時間、費用相場についても紹介します。

 

インスペクション実施の流れ

事前にインスペクションを依頼すると、当日に調査員が該当の住宅を訪問します。一般的に外側からチェックを始め、それが終わると内部のチェックに進みます。戸建て住宅の場合はオプションとして床下や屋根裏などのチェックをすることもあります。インスペクションは当日のうちに終わり、その場で診断結果を記載した報告書が手渡されます。

 

インスペクションに要する時間

インスペクションの内容によって異なりますが、一般的な検査項目であれば所要時間は2時間程度です。戸建て住宅のインスペクションではオプションで依頼できる検査項目の余地が大きいため、オプション項目の診断も依頼するとその分所要時間は長くなると考えておいたほうがよいでしょう。

 

インスペクションの費用相場

インスペクションの費用については、マンションなどの集合住宅と戸建て住宅によって異なります。一般的に戸建て住宅のほうが検査項目は多いため、費用も高めです。マンションのインスペクションはおおむね5万円前後で、戸建て住宅の場合は一般的な検査項目だと5~6万円程度にオプション分が上乗せされるといった費用感です。

 

マンションの場合は検査項目にそれほど違いがないので相場どおりの費用になることが大半ですが、戸建て住宅は形状や広さなどによってインスペクションの費用が大きく変動するため、事前の見積もりを入念にチェックするようにしてください。

不動産投資家にとってもインスペクションは強い味方

住宅と同じく中古市場が確立している中古車業界には、オークションという業者同士が売買をする仕組みがあります。オークションに出品された中古車はプロの査定マンによる点検が行われ、その結果を示す書類とともに競りにかけられます。これによって中古車業者やその顧客は安心して中古車を購入できるわけですが、中古住宅のインスペクションもこれと同じです。インスペクションがあることで売主、買主の双方が安心して中古住宅の売買ができるので、不動産投資家が中古物件を仕入れる際にもインスペクションを大いに活用したいところです。

 

特に収益物件の場合は「顧客」である入居者に満足してもらう住宅を提供する必要があるので、安心して住んでもらえる物件づくりにインスペクションは強い味方になります。

 

 

山崎 博久

リズム株式会社

アセットコンサルティング事業部長