家族を養っていた人が亡くなった際に、遺族に対して支給される「遺族年金」。残された家族の生活を維持するためにも必要なものですが、絶対もらえるとは限りません。遺族年金の落とし穴についてみていきます。
月収45万円・45歳サラリーマン急逝…妻号泣、さらに新事実に驚愕「えっ、わたし遺族年金1円も、もらえないんですか?」 (※写真はイメージです/PIXTA)

45歳夫急逝で「遺族年金月17万円」のはずが…

では、まずは遺族基礎年金。「子のある配偶者」が受け取れるのは、「79万5,000円+子の加算額」。子の加算額は、1~2人目は各22万8,700円、3人目以降は各7万6,200円。よってこの場合は125万2,400円/年が支給されることになります。

 

次に遺族厚生年金。仮に亡くなった夫は、20歳~45歳まで、正社員としての平均給与をもらっていた、として考えます。

 

*厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』より

 

遺族厚生年金の年金額は、死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額。また受給者が「①子のある配偶者」「②子」「③子のない配偶者」の場合で、報酬比例部分の計算において厚生年金の被保険者期間が25年未満の場合は、300ヵ月として計算します。これらを加味すると、単純計算、87万6,000円/年となります。

 

つまり合計すると、年間212万8,400円、ひと月当たり17万円ほどの遺族年金がもらえることになります。

 

45歳で夫を亡くし、さらに育ち盛りの子ども2人を育てなければならない。それで1ヵ月17万円は少々心許ない金額かもしれません。「生命保険+遺族年金」で残された家族の生活は守られていく……というのがよくあるパターンでしょうか。

 

ただ遺族年金があるとないとでは大きな違いです。実際に「遺族年金がもらえない」というパターンも。

 

――えっ、わたし遺族年金1円も、もらえないんですか?

 

そんなことがあったら、ただでさえ悲しみにうちひしがれているのに、もう再起不能になりそうです。

 

遺族年金がもらえないケースとしてよくあるのが「年金保険料の未納・滞納がある」というもの。遺族年金は国民年金、厚生年金に由来する公的なサポートなので、当然、保険料を納付していなければ、受け取れるものではありません。

 

被保険者が亡くなった場合、死亡日の前日において、保険料免除期間を含む保険料納付期間が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要です。つまり前述のケースの場合、夫に8年強の未納期間があると、残された妻は遺族年金をもらえない可能性があります。ただし、死亡日が令和8年3月末日まで、かつ65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければ良いとされています。

 

――夫に国民年金保険料を納めていないときがあって

 

夫の死後にそんな真実を知って、遺族年金が1円ももらえない……そんな悲劇に見舞われないよう、いまのうちにお互いの国民年金保険料の納付状況をチェックしておいたほうが安心です。

 

[参考資料]

厚生労働省『令和4年簡易生命表』

日本年金機構『遺族年金』

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』