(※写真はイメージです/PIXTA)

いつの時代もなくならない相続トラブル。親/子ども/きょうだいと、死後のことを話すのは気まずい…。といった声は多いものですが、生前対策を怠ってとんでもないトラブルに巻き込まれる例が相次いでいます。本記事では実際の事例を紹介し、相続対策の基本を見ていきます。

「長男の取り分が多いのは当然だろ」

一方、アキトシさん。高校卒業と同時に地元企業に就職し、40歳のときに会社を興しました。社員10名程度の小さな会社で、順当に成長を続けています。

 

なおアキトシさんは結婚していましたが、子どもの独り立ちと同時に離婚。職場にも実家にも通いやすい地域でアパートを借り、一人暮らしをしています。資金繰りに困っているわけではありません。

 

正直なところ今回の相続で自分の取り分がここまで多いとは思っていませんでしたが、「これ幸い」と、遺言書通りの遺産分割にしようと考えました。

 

「父さんの遺志に従ったほうがいいだろう。お前、金に困ってるのか?」

 

「お兄さんに関係ないでしょ。こんな不平等認められないって言ってんのよ」

 

「長男の取り分が多いのは当然だろ。だいたいなあ、俺は高校卒業してすぐ働きはじめたんだ。大学にも行けなかった。こんぐらい当然の権利だろ!」

 

「そういう話じゃない!」

 

と、2人の会話はヒートアップ。仲裁者がいなかったことも重なり、売り言葉に買い言葉の大騒動になってしまいました。

 

積年の不満が爆発したのかメグミさんは大激怒し、遺留分侵害額請求を進めています。アキトシさん、「金に困ってるならそう言ってくれればよかったんだ。今さら引き返せない」と意固地になってしまった胸の内を明かしました。

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……この事例は相続トラブルの典型例といえましょう。ただでさえお金が絡むと揉めるものですが、「きょうだいの収入格差」はかなりの確率で争いの火種になります。たとえ仲がよかったきょうだいでも「自分が損している」と感じれば、亀裂が入るもの。

 

なお遺留分侵害額請求については下記を参照ください。

 

遺留分・・・兄弟姉妹(甥・姪)以外の相続人に、最低限保障された相続財産の割合のことを「遺留分」と呼びます。

 

“遺留分は、被相続人の子供や配偶者の割合は法定相続分の2分の1、被相続人の親の場合は法定相続分の3分の1です(民法1042条1項)。本件の事例でも、とりあえず、この遺留分を主張していくことはできるのです。

次ページどのようにおこなう?「遺留分侵害額請求権の行使」

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