ある日突然、愛する家族の介護が必要になったら……素早く冷静な判断ができる、という人は多くないでしょう。こうした“不測の事態”に適切な対応をとるためにも、身内が元気なうちにやっておきたいことがあると、FP Officeの片根竜哉FPはいいます。愛する妻を介護するため早期退職を決断したある男性の事例をもとに、看護師の経験もある片根氏が解説します。
年収1,300万円、預貯金4,500万円の55歳“勝ち組”サラリーマン「愛する妻のため」早期退職→5年後“子が心配するほど”老けたワケ【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

介護付き有料老人ホームの費用は?…福祉サービスの活用も検討を

介護付き有料老人ホームの費用は、入居費用60万円~690万円、月額費用19.6万円~31.7万円(2022年11月30日時点、LIFULL介護に掲載されていた全国の老人ホームの料金プラン)となっています。

 

介護施設費用としては、介護サービス費(1~3割の自己負担)、家賃、食費、おむつなどの介護品代、医療費が含まれます。

 

Aさんのケースの場合、年金受給がはじまるまでの5年間、可能な限り資産を減らさないよう努める必要があります。具体的には、60歳から65歳までは生活費26万(総務省「老後の夫婦のみの世帯平均費用」より)以下での生活が目標です。

 

また、すぐさま介護施設に入居するのではなく、まずは週3日~4日ほどの頻度でショートステイの利用を検討しても良さそうです。ショートステイであれば、費用は1日あたり700~800円、ほどで済みます。介護度やAさんの介護疲労度にもよりますが、資産状況等を考えながら、福祉サービスを有効活用していくべきでしょう。

 

Aさん「もっと早く相談しておけば仕事を辞めずに済んだかもしれないな……夫婦なんだから一緒に居るべきだという思い込みで仕事を辞めてしまい、後悔しています。でも、これから支出に気をつけて暮らせばなんとかなりそうでほっとしました。またなにかあったら相談させてください」

 

介護はいつ、どのようにはじまるかわかりません。ある日突然介護者となった場合、身体的・精神的な負担、金銭的な負担を背負うことになるかもしれません。また心づもりをしていなければ、冷静な判断ができなくなってしまいます。いつ起きるか分からない介護のため、身内が元気なうちに資産の状況の把握し、社会制度について詳しい専門家やファイナンシャルプランナーに相談しておくと安心です。

 

 

片根 竜哉

FP Office

ファイナンシャル・プランナー