人生でもっとも高額な買い物といえばマイホーム。購入金額は数千万に上るため、現金一括でという人は少数派。大半の人が住宅ローンを利用してマイホームの夢を実現しています。しかし、30年超に及ぶこともある住宅ローン返済期間中、契約時の収入が途切れることなく継続する保証はどこにもなく、いくら高年収の世帯であっても住宅ローン破綻のリスクをゼロにすることはできません。詳しくみていきましょう。
年収1,500万円の勝ち組夫婦…「余裕」の“億ション”購入プランに潜むまさかの〈落とし穴〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

住宅ローン破綻に至る確率は4%…「ペアローンなら買えるかも」はとくに慎重に

たしかに、「世帯年収1,500万円」が未来永劫続くのであれば、上記の住宅購入プランには“余裕”があるかもしれません。しかし、住宅金融支援機構の調査では、住宅ローン破綻に至る確率は4%程度、25人に1人の割合であり、決して珍しいことではありません。もちろん、前述のような勝ち組夫婦も例外ではないのです。

 

まず、2人の収入が途切れることなく続くことを前提にペアローンを組んでいる場合は注意が必要です。

 

天災などの外的要因によって、勤め先の業績が大きな打撃を受ければ収入は減るでしょうし、「子を産まない」という選択をした夫婦が想定外に妊娠し、ライフプランが大きく変わるケースも考えられます。女性が産後に職場復帰を果たすケースは珍しくありませんが、出産前のポジションに同待遇で復帰できるかどうかは約束されてはおらず、やはり収入減となることも考えられます。

 

また、いまや3組に1組が「離婚」に至るという現実も見逃せません。

 

ペアローンで購入した物件を売却するには双方の同意が必要とされ、片方が拒否すれば売却は困難です。また、ペアローンでは双方が連帯保証人になっていることから、どちらか一方がローン返済を渋るようなことがあれば、もう一方の負担が倍増することになるのです。

 

話し合いの結果、仮に2人が売却に同意したとしても、物件の時価がローン残債以下となる「オーバーローン」の状態であった場合、売却にあたっては差額分に相当する現金を差し入れる必要が生じます。それを受けて「ローン返済を続けながら住み続ける」という選択をすればプラスαの住居費を覚悟しなければなりませんし、離婚を原因とする住宅ローンの名義変更は困難を極めます。

 

住宅ローンの返済期間は、通常30年ほどの長期戦です。それだけの長い期間には、現時点では「余裕」と思われる返済プランにも、「まさか」の事態は起こり得ます。ローンを利用している限り、誰もが上にみたようなリスクを負っていることを忘れてはなりませんが、とくに「ペアローンなら買えそう」な水準の物件を検討している場合は、より慎重になるべきかもしれません。