日本は世界でも少子高齢化が深刻な国のひとつ。現役世代の負担は増し、潰れる寸前です。自身が高齢者になったときに、支えてくれる若者たちがいればいいのですが、それもなかなか難しそう……明るい未来を描くことが難しい、日本の現状をみていきます。
平均月収35万円・43歳サラリーマン、負担拡大に悲鳴「もう、潰されてしまう…」年金減に老後不安、生涯現役確定の絶望感 (※写真はイメージです/PIXTA)

老後も働き続けられる環境へ…その先に待つ、最悪のシナリオ

一方で誰もが資産をつくれるとは限りません。介護資格学校「日本総合福祉アカデミー」の教室を運営する株式会社ガネットが行った『「定年後の働き方」に関する意識調査』によると、定年前のサラリーマンの4人い1人が「貯蓄がない」と回答。運用に失敗したのか、そもそも資産運用するための元手がなかったのか……理由は何であれ、定年を前にして「貯蓄ゼロ」は一大事です。

 

そうなると「定年後も働かないと生きていけない」ということになりますが、幸いなことに、70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務になったり、在職老齢年金の支給停止基準が引き上げられたりと、老後も安心して働ける環境はどんどん整備されていっています。

 

――その気になれば、一生働くことができる

 

という喜びの声が聞かれる一方で、多くの高齢者が給与収入を得られるようになれば、「年金支給年齢の引き上げ」や「年金支給額の引き下げ」がしやすくなる、と指摘する専門家も。そうなれば多くの人は「老後、働きたい人は働く」ではなく、多くの人が「働かないと生活できないから働く」という世の中になるでしょう。

 

内閣府『令和3年版 高齢社会白書』では、国際比較調査にみる日本の高齢者の生活と意識の特徴について記されています。高齢者が就労を希望する理由として「収入が欲しいから」を挙げた割合は、「日本」が51.0%だったのに対し、「アメリカ」は32.2%、「ドイツ」35.5%、「スウェーデン」25.1%。現時点でも日本では「働かないと生活できない」という高齢者が多く、その割合は、今後も増えていくことが確実だといえるでしょう。

 

老後も働かないと生きていけない……なんとも絶望的な未来しか描くことができない日本で一縷の望みをあげるならば、「老後に働かなくてもいいほど資産形成が上手くいく」ことのみ。自身の幸運を祈るしか方法はありません。