日本は世界でも少子高齢化が深刻な国のひとつ。現役世代の負担は増し、潰れる寸前です。自身が高齢者になったときに、支えてくれる若者たちがいればいいのですが、それもなかなか難しそう……明るい未来を描くことが難しい、日本の現状をみていきます。
平均月収35万円・43歳サラリーマン、負担拡大に悲鳴「もう、潰されてしまう…」年金減に老後不安、生涯現役確定の絶望感 (※写真はイメージです/PIXTA)

2040年、年金2割減は既定路線…老後不安拡大に打ち手は?

生産年齢人口(15歳~64歳)に対する65歳以上人口の比率である「高齢者扶養率」は、2022年、51.19%。世界でも2番目に高い国ではありますが、1位の「モナコ」はセレブが集まる人口4万人程度のミニ国家であり、実質、日本が世界で一番高齢者扶養率の高い国だといえます。

 

【世界「高齢者扶養率」上位10ヵ国】

1位「モナコ」70.36%

2位「日本」51.19%

3位「イタリア」37.87%

4位「フィンランド」37.81%

5位「ギリシャ」36.05%

6位「プエルトリコ」36.04%

7位「ポルトガル」35.82%

8位「フランス」35.42%

9位「マン島」35.36%

10位「ドイツ」35.23%

 

出所:世界銀行(2022年) 資料:GLOBAL NOTE

 

日本が世界2位、実質世界1位の高齢者扶養率となったのは2002年のこと。ただしこの時の高齢者扶養率は28.42%だったので、いかにこの20年で高齢化に伴う負担が劇的に増えたかが分かります。

 

――もう高齢者を支えられません、潰されてしまう

 

現役世代の悲鳴が聞こえてきそうな状況。ただ老後の安泰が約束されているなら、苦しい負担も乗り越えられるかもしれません。ただし前述のとおり、日本は「低負担・中福祉国家」。過度な期待はできません。

 

厚生労働省によると、厚生年金受給者の年金支給額は平均月14万円。65歳以上に限定すると、男性で月17万円、女性で11万円程度です。また高齢者1人の月支出は14万円程度。年金の手取り額を考えると、平均的な元会社員であれば、年金だけでなんとか生活ができそう、という水準です。

 

しかし年金減額は既定路線。公的年金を標準的に受給し始める65歳時点のモデル年金額(額面)が、その時点の男性現役世代の平均手取り収入(賞与込)と比較してどの位の割合かを示す「所得代替率」は、2019年時点で61.7%。この所得代替率は2040年代には50%程度になることが確実視されているのです。これは年金が2割目減りするということ。平均的なサラリーマンであっても「年金だけでは生きていけない」ということが確実、というわけです。

 

老後不安は、どんどん広がっていくばかり……。そこでいわれているのが「自助努力」。「自分の老後ためのお金は自分でつくりなさい」ということです。さまざまな優遇策もあり、昨今は老若男女が「資産形成」を合言葉に資産拡大を目指しています。