1,600万円では不十分…「物価上昇」のリスクに注意
順調に積み立てていけば、机上では上記のように老後の生活資金の準備ができる計算です。しかし実際には、消費者物価が上昇していけば、銀行に預金しているだけでは資産価値は目減りしてしまいます。
そこで、確実に資産を増やしていくためには、物価上昇分の収益が期待できる「株式」や「投資信託」といった金融商品で積み立てることも必要になってきます。ただし、運用次第では元本を割るリスクがあるため、運用する際はその金融商品の特徴をよく調べてから始めることが大切です。
現在、元本が保証されている金融商品は、銀行の定期預金など一部の商品にすぎません。
また[図表3]のように、定期預金で元本を確保しながら金融商品で収益を得るといった、商品を分散して投資する方法も考えられます。
税制優遇制度が適用されている、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)を利用すれば、非課税の恩恵を受けられます。また、投資資金をクレジットカード決済することで、ポイントの優遇を受けるのもひとつの手です。
ここまで話を聞いたTさんは「コツコツやっていけばなんとかなりそうですね。こうやって数字でみると、意外と蓄められそうで安心しました。ありがとうございます」と、前向きな反応をみせてくれました。
投資をスタート…相談を機に前向きになったTさん
Tさんは筆者との面談後、しばらくして近況報告に来てくれました。聞けば、定期預金とNISAを利用した積立投資を始めたそう。
また、Tさんは、C社に勤め始めて5年以上経っていることから「無期転換ルール」で正社員に登用してもらうことも可能です。しかし、「非正規雇用だからこそ、他社からの依頼を受けることができているし、どうしようか迷っている」と、前向きな悩みを話してくれました。
牧野 寿和
牧野FP事務所
代表FP/CFP
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