まだ働けると思っていた勝ち組サラリーマンの大誤算!
Aさんは60歳。手取り月130万円の大企業の常務です。
若いときからエリート街道を走ってきたため、自分は会社にとって重要な人間だと思っていました。しかし、ここ数年は会社の経営も振るわず、そういった責任や60歳といった年齢からか、ほかにも事情があったのか、任期満了時に再任されることはありませんでした。
予想よりも少なかった退職金を手にしてリタイアすることになったAさんですが、大きな悩みがあります。
手取り130万円もあったAさんは、それはそれは遊び方も豪快でした。
別宅としてマンションを持っており、そこに愛人を住まわせて、毎月お手当まで渡していました。しかし、突然の退職により、そんなことは一切できなくなります。当然、愛人は大激怒。
「私のこれからの暮らしはどうなるのよ!」とAさんを責め立てます。Aさんはしかたなくマンションの残りのローン(セカンドハウスローン)1,000万円を完済して名義を愛人の名前に書き換えるとともに、現金100万円を手切れ金として愛人に渡して縁を切ることにしました。
家庭のほうでも、会社を辞めてしまったことから奥さんに愚痴を言われ続け、耳が痛い生活を送ることになります。大企業の常務まで勤めたAさんは、いまさらほかの会社で働く気力もありませんし、愛人も失くし生活が一変したことで、食欲も落ちて体調まで思わしくありません。
高収入だったAさんの資産はまだ十分残っていましたが、それでも本宅のほうも住宅ローンがあと10年ほど残っていました。こちらは、残債が3,800万円ほど、毎月の返済額は30万円以上もあり、もうしばらくしたら繰り上げ返済で完済してしまおうか、と考えていたところにとんでもない知らせが届きます。
元愛人からの「とんでもない知らせ」
Aさんがこれからの生活をどうしようか悩んでいたころ、突然元愛人から電話が入ります。
「贈与税ってなによ! 2,000万円ってどういうことよ! 私、払えないわよ! なんとかしてよ!」
Aさんは、退職からの生活の激変でパニックに陥っていて、贈与税のことをすっかり忘れてしまい、愛人に言われるままマンションを渡してしまっていたのです。これが、どうも税務署にバレたようで、多額の贈与税の支払い義務の通知が元愛人に行ったようです。