不動産投資は「家賃収入が不労所得になる」「節税対策になる」と耳にしたことがある人もいるでしょう。確かに不動産投資は、上手く活用することができるとメリットがたくさんあります。しかし、浅はかな知識で不動産投資を始めることは、大変危険です。本記事では、FP1級の川淵ゆかり氏が、Aさんの事例とともに、不動産投資の注意点について解説します。
手取り月50万円の40歳・大企業のサラリーマン「ワンルーム投資で不労所得」のはずが、一転「家計崩壊」…でも売るに売れない事情とは【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

家賃収入で不労所得のはずが…

Aさんは大企業に勤務する手取り月50万円の40歳のサラリーマンです。

 

10年ほど前に不動産投資セミナーに参加し、「節税効果がある」「ローン完済後の35年後には、家賃がまるまる収入になる」と言われたことから、東京都内でワンルームマンションを1室、フルローンで購入しました。

 

さらにその1年後には「空室対策になるから」と勧められ、続けて2室のワンルームマンションを購入します。このころ、Aさんは年収も上がっており、結婚を考えていた女性もいて、まさに人生は順風満帆。将来に不安もなく過ごしていました。

 

Aさんが複数の不動産を持てたワケ

Aさんのように大企業に勤務している人は、実は年収の10倍以上の融資を受けることが可能で、複数のワンルームマンションを購入できてしまうのです。大企業勤務の方だけではなく、公務員や医師、弁護士といった安定的に高収入を得ている人達も10~30倍の融資を受けることができます。

 

しかし、このように複数のワンルームマンションを持つ投資家が増えたことでワンルームマンションが増えてしまいました。これが単身者世帯の増加につながるとして、最近では「ワンルームマンション規制」を設ける都市部も増えてきました。

 

不動産投資が節税に役立つワケ

不動産では建物にかかる部分が減価償却費の対象となります(土地は価値が下がっていくものではないため、減価償却費の対象外です)。

 

減価償却とは、価値があり長期間にわたって使用できる資産について、購入した年に全額を一度にまとめて費用計上するのではなく、一定の期間にわたって分割して費用に計上していくことです。減価償却費は実際のお金の支出を伴わない費用計上となりますので、うまく活用できれば、手取りを増やすことができます。

 

そして不動産所得は総合課税の対象になりますので、給与所得や事業所得などがある場合はこれらと合算して税金を計算することができます。

 

つまり、減価償却費により不動産所得が赤字になった場合、給与所得と合算することでトータルで所得額を減らすことができます。結果として所得税や住民税を減らすことができるのです。

 

マンション投資に限らず、こういった減価償却費の仕組みを利用した節税対策の投資は富裕層に人気です。