50代“独身貴族”の8割超が「老後が不安」
日本の生涯未婚率は年々上昇し、現在では男性の3割弱、女性の2割弱が生涯独身を貫くとみられています。なお生涯未婚率は1990年の調査では男性5.6%、女性4.3%でしたから、時代とともに「結婚」というライフイベントの捉え方が急激に変化していることがわかります。
金融広報中央委員会『令和4年 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]』によると、老後の生活について「心配である」と回答した単身者は全年代で79.2%。50代になると、その割合は84.4%にまで上昇します。家族を持つ人に比べてお金や時間を自由に使えることから、「独身貴族」と呼ばれることもある単身者ですが、実は多くの人が、老後に向けた不安を抱えているようです。
50代の単身者に老後不安を抱く理由を聞いてみると、1位には「十分な金融資産がないから」(72.5%)がランクイン。続いて、「年金や保険が十分ではないから」(54.7%)、「現在の生活にゆとりがなく、老後に備えて準備していないから」(36.9%)などが並びます。
実際、金融資産を保有している単身者の割合は65.5%に留まり、76.9%だった二人以上世帯に比べて、老後に向けた準備が十分でない人が多いようです。また、これを年代別にみてみると、全年代で二人以上世帯を下回るという結果に(下表)。
20代:57.9%/64.3%
30代:67.6%/76.1%
40代:64.2%/73.9%
50代:60.4%/75.6%
60代:71.5%/79.2%
70代:71.7%/81.3%
出所:令和4年 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]
※数値左:単身世帯、右:二人以上世帯
一方、「金融資産を保有している」と回答した人の資産額は平均1,348万円。「1人なら十分な額じゃないか」と思えそうですが、一部の富裕層が数値を引き上げている可能性のある平均値ではなく、中央値に目を向けてみると、二人以上世帯の資産額が750万円であるのに対し、単身世帯のそれは450万円。こちらもすべての年代で単身世帯のほうが少なく、「独身貴族」の暮らしを謳歌するあまり、資産形成が後回しになってしまう傾向が垣間見えます。
20代:110万円/200万円
30代:270万円/390万円
40代:374万円/500万円
50代:610万円/810万円
60代:950万円/1,270万円
70代:1,000万円/1,200万円
出所:金融広報中央委員会『令和4年 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査、二人以上世帯調査]』
※数値左:単身世帯、右:二人以上世帯