加給年金がストップしてしまう…厚生年金加入期間「20年」が重要
年金事務所で手続きをしていると、A夫妻は職員から「配偶者の厚生年金加入期間が20年を超えると、年金受給権が発生したときに加給年金も停止してしまう」と教えてもらいました。
勤続年数が20年以上あると、「特別支給の老齢厚生年金」の受給権利が発生。そのタイミングで、加給年金が停止してしまうのです。実際、配偶者の勤務期間が20年になる手前の人は、仕事を続けるかどうか悩むケースが少なくありません。
Bさんは現時点で勤続19年。すぐに会社を辞めなければ、加給年金を満額もらえない……ギリギリの状況でこの情報を知ったA夫妻は困惑しました。
2022年に改正!働き続けていると「加給年金」も受給できないことに
なお、配偶者の老齢年金の支給停止については令和4年4月以降に改正となっているため、新しい内容もたしかめておきましょう。
たとえば、63歳になっても仕事を続けていて十分な給与がある場合、本来は「特別支給の老齢年金」を受け取れる年齢ですが、在職老齢年金制度で年金給付が全額停止となります。
このとき、改正前は「加給年金」が受け取れました。しかし、改正後は年金を受け取っていないにもかかわらず、加給年金も受け取ることができません。
「加給年金がなくとも、十分な給与があるでしょう」ということなのかもしれませんが、悩ましいところです。
とはいえ、「加給年金を受給したい!」とだけ考えて働く年数をセーブしてしまうのも正しい選択ではありません。やりがいや人とのつながりなど、働く喜びにはお金に代えられないものもあります。
したがって、年金の給付が始まる前に最新の制度を確認し、その後の働き方については慎重に検討するとよいでしょう。
<令和4年4月以降の加給年金の停止と経過措置>
年金制度の改正により、令和4年4月以降は、配偶者の老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上または共済組合等の加入期間を除いた期間が40歳(女性の場合は35歳)以降15年から19年以上の場合に限る)、退職共済年金(組合員期間20年以上)を実際に受け取っていなくても、受け取る権利がある場合(在職により支給停止となっている場合等)は、配偶者加給年金額は支給停止されます。
(引用:日本年金機構)
梅田 雅美
FP Office株式会社
ファイナンシャルプランナー