会社員生活に疲弊するなかで「いつかは自由に働きたい」と考える人もいるのではないでしょうか。しかし、その考えを実行に移す前に、「老後のお金」についてしっかり考えておく必要があると、FP Office株式会社の草間栄治FPはいいます。では具体的に、どのような点に気をつけなければならないのでしょうか。スナックを営むおひとり様女性Aさんの事例をもとにみていきましょう。
悔やんでいます…老後の収入は「年金月6万円のみ」68歳・独り身女性の悲痛な嘆き【FPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

“死ぬまで現役”…人気スナックのママとして約40年店を守ってきたAさん

【Aさんのプロフィール】

・属性:68歳・単身女性

・収入:合計21万円。スナック経営月15万円(経費控除後)+国民年金月6万円

・住宅:賃貸物件。家賃5万円

・生活費:月10万円

・預金額:1,000万円

 

現在68歳のAさん。20代のときに結婚し、専業主婦として夫を支えてきました。しかし、30歳のときに離婚。その後、かねてより興味があったスナックを開業し、今日まで約40年切り盛りしています。

 

客入りはよく、その人柄から常連さんも多くつき、人気のスナックに成長。自営業という強みから「死ぬまで現役」が口癖のAさんは、将来の準備や節約をすることもなく、日々楽しく生活してきました。

 

高齢になり、体調がすぐれない…それでも「お店を畳めない」ワケ

そんなAさんにも、最近悩みがあります。仕事柄お酒を飲む機会が多く、長年不摂生が続いていることや、立ち仕事であることから、体調がすぐれない日々が続いているのです。年齢もあり、「お店を休めるものなら休みたい」というのがAさんの正直な気持ちです。

 

しかし、簡単にはお店を畳むことができません。そうすると、Aさんの収入が激減してしまうからです。

 

Aさんはそもそも会社員として働いていましたが、結婚後専業主婦となり、その後自営業というキャリアを歩んできたため、厚生年金はほぼ受給することができません。もらえる年金はというと、月6万円ほどの国民年金のみです。

 

一方で、毎月かかっている生活費は月15万円ほど。Aさんは過去にマイホームの購入を検討したことがありましたが、仕事柄ローンが通りにくく、現在も賃貸住まいです。もしスナックを畳めば、家賃(月5万円)を支払うだけで精一杯の状況になります。

 

仕事を辞めると毎月9万円程度の赤字になるため、現在の貯蓄1,000万円は約10年しかもたず、80歳になる前に資産が尽きる計算です。女性の平均年齢が87.09歳であることを踏まえると、Aさんは不安で仕方ありません。

※ 参照:厚生労働省「令和4年簡易生命表の概況」

 

ある日、思い切ってスナックの常連さんに上記の悩みを打ち明けたところ、「それなら、俺の知り合いに相談してみれば?」とFPを紹介されました。