もうお金を払えない……そう追い詰められたときの選択肢のひとつが自己破産。その4人に1人は高齢者だといいます。低年金、それに伴う生活苦が主な原因といわれていますが、多くの年金がもらえる元エリートだからといって「老後破産」とは無縁とは言い切れません。その理由についてみていきます。
気づけば「老後破産」寸前でした…〈年金月30万円65歳の元・超エリート〉でも危機に直面する根本理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

超エリートでも老後破産の理由、3つ

しかし、高所得であれば絶対に老後破産しないのか、と問われれば、そうとは限りません。厚生年金の最高額は、理論上、月30万円程度。年金の計算の基となる、現役時代の平均標準報酬額(≒平均月収+賞与)が月63.5万円以上という、ほんのひと握りの超エリートです。そんな人でも、

 

ーーあんなに羽振りが良かったのに、自己破産なんて

 

というような話は、この世の中にごまんとあります。そもそも老後を迎えても負債がある人は、近年、ライフイベントを迎える年齢が上昇していることで増加の一途。30代になってから結婚、そして第1子誕生、そして40代前後で住宅購入。平均返済年数は30~35年といわれているので、70歳を迎えても住宅ローン返済が残っていることは珍しくないのです。

 

現役時代、超エリートだった人たちが、老後になっても抱えている負債。ただ予定通り返済を進めていけば、老後破産に陥ることはないはず。なぜ、超エリートだった人でも自己破産に陥ってしまうのでしょうか。

 

超エリートでも老後破産の理由① 生活のダウンサイジングができていない

「現役時代の収入」→「年金収入」となる際、収入は3~5割減少し、その分、支出も減らす必要があります。現役時代のままの支出では対応しきれるはずがなく、老後破産まっしぐら。

 

収入が減ったとしてもすぐに生活水準を下げることは、誰もができることではありません。収入ダウンを見据え、長期的な視点で生活のダウンサイジングをしていかないと、元超エリートでも老後破産は避けられません。

 

超エリートでも老後破産の理由②老後を見据えた貯蓄がない

「いやいや、生活のダウンサイジングができていなくても、高所得なら株式やら不動産やら、何かしらで資産運用をしているから大丈夫でしょ」という声をよく耳にします。確かに多くの高所得者は、色々な資産運用を行い、収入の減少分をカバーしています。しかし「貯蓄ゼロ」というケースも珍しくはありません。

 

金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和4年』によると、将来を見据えた金融資産は「保有している」が76.9%、「保有していない」が23.1%。さらに年収別に見ていくとと、低年収ほど保有していない割合が増えますが、それでも「年収1,200万円以上の13.0%」は「金融資産を保有していない」と回答しています。

 

貯蓄がなく、しかも生活のダウンサイジングができていなければ、老後破産は確実。またダウンサイジングが出来ていたとしても、貯蓄がなければ不測の事態に対応できません。常に老後破産と背中合わせといえる状態です。