FXの相場に「原因」を求める危険性
トレードをしていて「自分が立てたシナリオと違う動きをしている」と不安に思った経験はありませんか? FXトレーダーであれば誰しもが経験することでしょう。
日常生活でも自分の考えと違うことが現実で起こっていたら、誰でもその原因を考えてしまいます。当然、人間の本能でもある原因を突き止めたい欲求はFXの場でも湧き上がります。
しかし、そのような欲求は、ときによって毒となることがあります。多くの初心者トレーダーは自分の思ったとおりに動かない相場に原因を求めて、現状把握を怠ってしまうのです。
ここでは、チャートに「なぜなぜ」を求めて、資産を減らしてしまった初心者トレーダーの実例をもとに、プロトレーダーのチャートに対する評価法を紹介します。
FXには原因を「求めてよい場面」と「求めるべきでない場面」がある
「なぜテストの答案を間違えてしまったのか」「なぜ最近仕事の効率がとても悪いのか」など、我々は日常的に起こる出来事に対して原因を求めようとします。結果に対して原因を求めることは人間の本能ともいえるでしょう。
これはFXでも同じことがいえます。予想以上に損切りをしてしまったときや、普段とは違うトレード手法をしてしまったときなど、あらゆるトレード場面で原因を求めることがあるでしょう。もちろん、自分の出した結果に対して反省することは、成長していくにあたって必要なことです。
しかし、日常生活とは異なり、FXでは原因を突き止めることがマイナスの効果を生む場面があります。
プロトレーダーがFXの世界で原因を求めない場面は「トレードをしていてポジションを持っているとき」です。ポジションを持っている際に原因を突き止めようとすると、自分を正当化するバイアスにかかりやすくなります。実際に初心者トレーダーがトレード中に原因を求めてしまった事例を踏まえて解説していきます。
「なぜなぜ」を求めた初心者トレーダーの末路
FX初心者は、トレード中もトレードをしていないときも不安に駆られることが多くあります。機会損失や評価損益に一喜一憂しているトレーダーは多く、目の前の状況を整理することに精一杯になっているためです。
このように目の前の状況を打破することに焦点を当てているトレーダーの多くは、トレード中も「なぜなぜ」と自分のトレードに原因を求める傾向にあります。前述したとおり、ポジションを持っている際に原因を求めてしまうと、利益を出す確率は低くなります。トレード中に原因を求めるタイミングの多くは、「含み損を抱えているとき」です。
誰でも含み損を抱えて嬉しいと思うことはないでしょう。初心者トレーダーも同様で、含み損を抱えているときは自分の気持ちを落ち着かせるために、なんとしてでも現在、含み損になっている原因を探ろうとします。
しかし、このような場面で考える要因のほとんどは自分を正当化するためだけのアイデアになってしまいます。「少しでも心理的に楽になりたい」という欲望から生まれるアイデアは、相場全体ではまったく機能しない雑念となるでしょう。
含み損を抱えているときに自分が精神的に楽になるための雑念を持ってしまうと、なかなか損切りができなくなります。利益が出せない初心者トレーダーの多くは、トレード中にさまざまな原因を求めることによって損切りタイミングを見失ってしまうのです。