裁量免責が認められなくなるケース
さて、裁量免責が認められない(自己破産できない)事由はほかにもいろいろあります。破産法252条第1項では、先ほどご紹介した4号以外にも免責不許可事由が定められていますが、真摯に対応すればほとんどの方は裁量免責が認められますので、できるだけ早く弁護士等専門家に相談しましょう。FXの自己破産で、裁量免責が認められなくなるケースは以下のとおりです。
自己破産手続中にFXをまた行ってしまった場合
FXが原因で自己破産の手続きを行っているのに、再度FXに手を出す、ということは、「反省していない」「また同じ失敗を繰り返す」と判断される恐れがありますので、免責が認められない可能性が高まることになります。過去にFXが原因で自己破産の経験がある人も同様で、再度の自己破産が認められるのはかなり難しいことになります。
財産の勝手な処分
債務者の財産は売却されてお金に変えられ、債権者へ公平に分配することになっています。ですから、自己破産をする場合には、価値のある財産を隠したり勝手に安く処分したりすることはできません。さらに、債権者に公平に分配することになっていますから、優先して特定の人に渡すことも認められません。
調査に対し、説明の拒絶や嘘の説明をする
自己破産の手続中に嘘をついていることがバレたら、裁判所や破産管財人からは、「ほかにも嘘をついているのではないか?」と疑われてしまい、より厳しく調査をされることになります。場合によっては詐欺破産罪に問われる恐れもありますので、正直な態度を示しましょう。
財産隠しで自己破産ができなくなったAさん
Aさんは、FXの失敗から自己破産の申し立てを考えますが、その前にできるだけ財産を守ろうと数百万円ある定期預金等を解約し、妻や弟に預けてしまっていました。ですが、この行為が自己破産の調査段階でバレてしまい、免責不許可事由に該当するとされ、返済義務は消滅しないこととなってしまいます。
Aさんは残った2,000万円の借金に頭を抱え、妻も仕事も失くしてしまう恐怖から精神的に参ってしまい、外出さえもままならなくなるほど精神的に追い詰められてしまいました。
自己破産で免責が許可されなくなったらどうするか?
Aさんのように、免責が許可されなかった場合、どうなるのでしょうか? もし、免責許可されなかった場合は、原則として借金全額の返済義務が残るので、そのまま放置すると債権者から裁判を起こされ財産を差し押えられてしまうケースもあります。
こういった場合は、1週間以内に即時抗告で異議を申立てたり、任意整理や個人再生に変更したりすることで借金の負担を減らすことができる可能性もまだ残っています。なお、即時抗告や任意整理・個人再生は個人で行うのはかなりハードルが高いですから、早めに専門家である弁護士や司法書士へ相談してしまいましょう。
どれだけの経験や知識をあっても、市場の動きを100%予測することは不可能です。外部の要因(政治的な出来事、自然災害、経済発表など)によって市場は予期しない動きをすることがあります。FX取引をするのであれば、レバレッジに気を付けて、あくまでも余裕資金内で行うようにしてください。
川淵 ゆかり
川淵ゆかり事務所
代表