今後、日本のなかで成長していくといわれている業界のひとつが介護業界。そこで気になるのが、この業界で働く人たちの給与額です。肉体的にキツイというイメージが強い介護業界ですが、実際はどうなのでしょうか。みていきましょう。
会社員の平均給与「月32万円」だが…44歳・介護職員、絶望の給与額「人のために働いて、たったこれだけ」 (※写真はイメージです/PIXTA)

今後伸びる業界といわれているが…「介護業界」人手不足と賃金に不平不満

人口減少、先細りする経済。そんな元気のないに日本で拡大するといわれているのが介護業界です。2023年、日本の65歳以上の高齢者は、9月15日時点の推計で3,623万人。前年に比べ1万人の減少となり、この傾向は2028年まで続くといわれていますが、以降は2054年まで増加が続くと見込まれています。

 

高齢者の数が増えれば、それだけ介護する人を必要とします。厚生労働省『第8期介護保険事業計画』に基づいた必要とする介護職員の数をみていくと、2023年度には233万人、2025年には243万人、2040年には280万人になるとか。

 

しかし業界でいわれているのは、深刻な「人手不足」。公益財団法人介護労働安定センター『令和4年度介護労働実態調査』で「労働条件・仕事の負担についての悩み、不安、不満等」を尋ねたところ、トップは「人手が足りない」で52.1%。次いで「仕事内容のわりに賃金が低い」が 41.4%でした。

 

介護職員はとにかく大変、とはよく言われますが、その背景にはいろいろな理由があります。

 

まず体力的に大変。たとえばベッドから車椅子への移動。地味なサポートかもしれませんが、高齢者とはいえ大人一人を移動させるわけですから、結構な力仕事です。また一度でもトイレや入浴の補助をしたことがある人であれば、どれほど力が必要か分かるでしょう。基本的に立ち仕事だったり、シフト制で夜勤もあったりと、あらゆるシーンで体力が求められます。

 

さらに人間関係が大変。人と関わる仕事なのでコミュニケーションは必須で、それゆえ、人間関係の構築が難しいともいわれています。利用者との関係、利用者家族との関係、ほか職員との関係……そのなかでトラブルを抱えることも多く、ときに心を壊してしまう人も多いようです。厚生労働省による精神疾患による労災請求の調査では、2009年より「医療」と「介護」に分類するようになりましたが、それから10年で労災請求は4倍になりました。その間、業界が拡大していることを考慮しても、介護職の業務上の精神疾患の多さは際立っています。