ポートフォリオ内の業種別バランスにも配慮を
加えて、ある銘柄を売却した後のポートフォリオ内の業種別割合にも配慮が求められます。
「分散」は投資の鉄則の1つですが、ポートフォリオ内の銘柄のうち、特定の業種に属する株の割合が高くなり過ぎると、その業種がまとめて下がったときに、大きな損失を被ることになります。業界そのものの前途が怪しくなってきて株価が下がることもありますし、ある銘柄が下げたときにそれに関連する銘柄が一緒になって下げる「連れ安」が起こるケースも想定されます。
一方、ポートフォリオ内の銘柄がさまざまな業種の銘柄にバランス良く分散されていれば、特定の業種が下げに見舞われる局面でも、それによるダメージを抑制できます。ある業種が下がったとしても、ほかの業種が上がれば損失を補えるためです。
ですから、ある銘柄が含み益となり、利益確定の売り注文を入れようと思ったとき、売った後のポートフォリオにおいて特定の業種の株が占める割合が高くなり過ぎるのであれば、売るのを先延ばしにした方が良い結果を生む場合もあるのです。
なお、どうしても売りたい場合には、売却後にポートフォリオの業種別バランスを改善できるほかの銘柄を買うつもりで売るのがよいでしょう。
購入時にあらかじめ売値を決め、そこに到達したら機械的に売るという投資行動もたしかに大切です。しかし、上にみてきたように、「現金と株式の比率」「配当の見通し」「ポートフォリオ内の業種別の割合」など、条件次第では利益確定の売りを先延ばしにしたほうが、結果的に大きな利益を生むこともを覚えておくといいでしょう。