株を買おうかどうか検討している会社の情報は、上場企業に開示が義務付けられている「有価証券報告書」や企業の公式ホームページで公開された情報、そしてメディアを通じた二次情報など、さまざまなところに点在しています。本記事では、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏が、それぞれの情報の特性と有効活用するための方法について解説します。
有価証券報告書、公式HP、社長インタビュー…会社に関する「情報」を投資判断に活かすポイント【株式投資のプロが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

すべての判断のベースになる「法定開示」と「適時開示」

上場企業には、法律に基づく開示である「法定開示」と、証券取引所のルールに基づく開示である「適時開示」が義務付けられています。法定開示は「有価証券報告書」などを通じて行われ、金融庁の『EDINET』で検索可能です。

 

また適時開示は、決算短信や業績予想修正などの「決算情報」、新株式発行や合併などの「決定事実」、大株主異動や訴訟提起などの「発生事実」の3種に分かれ、東京証券取引所の適時開示情報閲覧サービスで検索可能です。

 

これらの開示は、投資家にとってもっとも重要な情報です。なぜなら、法定開示や適時開示はその会社の「公式発表」であるとともに、明確に数字が公表されるためです。上場企業の場合、その会社の良い部分も悪い部分も一定のルールに則って公開しないといけないのです。

 

投資先の企業を探す際は、法定開示や適時開示による情報が、すべての判断のベースになるでしょう。

ホームページや直接問い合わせによる「一次情報」

法定開示や適時開示の情報に次いで重要度が高い情報源が、その会社の公式ホームページです。また、メールなどでその会社のIR窓口などに直接問い合わせをしてみることも、投資家にとって役に立つ情報を手に入れるための方法といえます。

 

しかし残念ながら、そこには法定開示や適時開示のようなルールは存在しません。ですから場合によっては、会社の良い面だけが強調され、投資家が知っておくべき悪い面が隠されている可能性もあります。

 

また、数字が明確でない情報もあるでしょう。しかしそれでも、ホームページやIR窓口の担当者からもたらされる情報には、「当事者が発する一次情報」だという強みが存在します。仮に第三者のチェックを受けていないとしても、当事者が発している情報には、やはり一定の信頼性・重要性があるのです。

 

これは株式投資以外の場面にも通用することですが、情報を取りにいくときは可能な限り「発信源」に近づいていくことが重要です。伝言ゲームで親から離れれば離れるほど間違いが生じてしまうように、会社の情報も当事者から離れるほど歪みが生じます。伝言をする人が、自分に都合の良いようにあえて情報を捻じ曲げることも考えられるでしょう。

 

上にみたように、その会社のホームページに公開されたリリースを参照したり、直接問い合わせたりすることは、情報の発信源に近づこうとする行為だといえます。