投資信託の運用で失敗し、大きなショックを受けた経験があるという29歳・会社員の本田洋子さん(仮名)。ただ、いま振り返ればそれも「良い経験」になったと語ります。投資の主目的は「収益を得ること」ですが、投資という行為からは、収益以外にも大切なものを得られるようです。本稿では、テクニカル分析の解説サイト『テクニカルブック』を運営する株式会社アドバンの代表取締役・田中勇輝氏が、本田さんの事例と投資女子へのアンケートの結果から、投資と上手に付き合うための「5つのポイント」を紐解いて解説します。
「つみたてNISA」で運用デビューの28歳・女性、インデックス投信で大失敗&大後悔も…〈金融資産500万円〉まで“復活”できたワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

米国利上げで失敗を経験した20代投資女子

中堅企業の経理部門に勤める29歳の本田洋子さん(仮名)。もともと投資に興味はありましたが、損失が出るリスクを負うのがイヤで手を出していませんでした。しかし、コロナショックで将来に不安を感じたことがきっかけで、インデックス型の投資信託の積立を始めました。

 

本田さんは、超低金利な預金より少しでも良いリターンを得られれば十分というスタンス。資産を一気に増やそうとは考えておらず、長期的に堅実に資産を増やしながら、老後資金や子供の学費などに備えられればと考えているそうです。

 

そんな堅実な本田さんも、実は失敗を経験しています。

 

それは、2022年に入り米国の利上げに対する不安感が広がる中で基準価額が下落し、怖くなって解約してしまったことです。結果的に、かなり安いところで手放した形になり、ショックは少なくなかったとのこと。

 

ただ、本田さんはこの失敗について「経済の仕組みについて理解を深める機会にもなったし、長期的な目線を持つことの大切さも学ぶことができました」とポジティブに振り返っています。

 

そこからはいったん仕切り直しをして、売却資金で気になっていた商品を追加購入するとともに、解約した積立も再開。ここ1年間は相場が堅調に推移したこともあり、資産は順調に右肩上がり。現在の投資信託の評価額は200万円を超え、金融資産は預金と合わせると、もうすぐ500万円に達するところまできたそうです。

投資がきっかけで大きく広がった世界

投資を始めて良かったと感じているか質問したところ、本田さんは迷いなく「良かった」と答えました。

 

その理由は、「投資で資産が増えたこと以上に、自分の知識が増えたり世界が広がったりしたことを実感できたから」とのこと。

 

本田さんが投資にかけている時間は、1週間でも数時間ほど。ただ、日常的に投資のことを考えるようになり、以前は見向きもしなかったような経済ニュースにも、自然と興味が湧くようになりました。投資を始めたことがきっかけで、大きく視野が広がったといえそうです。

 

本田さんからは、真面目に、堅実に、かつ前向きに、投資に向き合っている姿勢が伝わってきました。独自に行った調査でも、こういった「投資女子」が多いことを示す結果が出ています。