マイホームの購入にあたって「頭金は3割」はよく言われること。しかし、せっせと自己資金を貯めている間に「買い時を逃す」リスクも。そんなときに検討したいのが「フルローン」や「オーバーローン」です。極端にいえば、「貯金ゼロ」でもマイホームを実現することは可能ですが、もちろんそこには相応のリスクが潜んでいます。詳しくみていきましょう。
「貯金ゼロ」で新築マンション購入の年収570万円・30代サラリーマン、…いとも簡単に〈破綻〉に至る、“無謀すぎる”住宅ローン返済額 (※写真はイメージです/PIXTA)

物件価格+αの融資を受けられる「オーバーローン」とは?

大手銀行による住宅ローンの固定金利の引き上げが話題になっている一方で、住宅ローン利用者の7割強が選択する変動金利は競争が激しいこともあり、金利引き上げの動きはみられません。金融機関は、「頭金はナシで大丈夫です」「諸経費分も貸しますよ」といったセールストークで、顧客を獲得しているようです。

 

国土交通省『令和4年度住宅市場動向調査』によると、新築分譲マンションの「購入総額」は平均5,048万円。そのうち「自己資金」は1,438万円と、物件価格の3割弱の頭金を用意していることがわかります。年収に占めるローン返済額である「返済負担率」は平均17.4%。適正な返済負担率は20~25%程度といわれているため、多くが確実なマネープランのもと、ローンを活用していることがわかります。

 

ちなみに新築分譲マンション購入者(世帯主)の平均年齢は39.9歳。男性正社員、同年齢の平均給与(所定内給与)は月34万1,800円、推定年収は573万円ほどになります。これで1,400万円もの頭金を用意するのはなかなか大変なことかもしれません。頭金を貯めている間にライフスタイルが変わり、志向するマイホームの形が変わってしまうことも考えられます。

 

「マイホームの買い時」を逃さないためにも、自己資金はもっと少なめに、あるいはフルローンやオーバーローンという選択もアリなのかもしれません。

 

物件費用を全額融資するフルローンの場合、保証料や手数料、団信保険料、印紙代、登録免許税、司法書士報酬、火災保険・地震保険料……等の諸経費は別途最初に支払うことになります。借入金額が3,000万円程度の場合、合計で30万~70万円ほどに上るケースが多いようです。

 

一方のオーバーローンは、物件費用以上の借入が可能。つまり、オーバーローンを利用すれば、「貯金ゼロ」でも夢のマイホームが実現できるというわけです。

 

とはいえ、大手銀行の場合、オーバーローンにはあまり積極的ではありません。ネット銀行のほうが、諸経費も込みで貸してくれるケースが多いようですが、どこまでを「諸経費」とするかは、金融機関ごとに異なるため、事前の確認は必須です。