万が一、夫(妻)が亡くなったら……。収入減は避けられず、どのように生きていけばいいのかと不安に襲われることでしょう。遺族が路頭に迷わないためにも、公的な死亡保障として遺族年金がありますが、それで子育て完了~自身の老後までカバーできるものなのでしょうか。みていきましょう。
月収37万円の夫急逝「どうやって生きていけば…」号泣の40歳妻を救った「遺族年金額」、言葉を失う「65歳からの年金額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

夫急逝の子2人の妻…「遺族年金」と「児童手当」等で月25万~30万円の生活費だったが…

仮に小学生の子どもが2人いる40歳の妻が、同い年の会社員の夫を亡くした場合の公的保障を考えていきましょう。

 

まずは遺族基礎年金。現在、「79万5,000円と子の加算額」が支給されます。この場合は、子ども1人あたり22万8,700円で、年間125万2,400円の受給となります。

 

続いて遺族厚生年金。夫は20歳から会社員(正社員)となり、ずっと平均的な給与を手にしてきたと仮定します。死亡時の月収は37万円ほど。遺族厚生年金額は死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3であり、報酬比例部分の計算において、厚生年金の被保険者期間が25年未満の場合は25年とみなして計算します。単純計算ではありますが、妻が手にする遺族厚生年金は年間55万9,062円となり、さらに「中高齢寡婦加算」として65歳になるまでの間、年59万6,300円が加算されます。

 

これらを合計すると1年で約240万円、1ヵ月あたり約20万円を手にできる計算です。ちなみに遺族年金は非課税なので、20万円まるまる生活費にできます。さらに「児童手当」などの公的なサポートも加えると、月30万円ほどを手にできる可能性も。これらも基本的に非課税なので、夫に先立たれた40歳の妻は、平均的なサラリーマンの月手取り額くらいの生活費を確保できそうです。また生命保険に加入して備えておけば、突発的な支出や、子どもの大学進学にも対応できるでしょう。

 

夫に先立たれ「この先、どうやって生きていけば……」と涙に暮れる妻。ただ育ち盛りの子どもがいて、遺族年金のほかにももらえるお金を足せば、残された家族が生きていくのに困らない程度の生活費はなんとかなりそうです。日々、子育てに奮闘し、2人の子どもが18歳以上になるのは、妻が50代前半の頃でしょうか。遺族基礎年金はもらえなくなりますので、年金の受給額は月10万円ほどになります。

 

ーー夫の生命保険もあるし、なんとかなるか

 

子どもが大学に進学したとして、妻、60歳を前に子育ては無事完了。あとは自分の老後だけと、いうタイミングになるでしょう。夫の残してくれた生命保険も少しは残っているし、65歳からは自分の国民年金も受け取れるから大丈夫だろうと考えた妻。試しに65歳から受け取れる年金額を試算してみたら……。

 

ーー残念ですが、年金は減額となります

 

ーーえっ⁉

 

言葉を失うような衝撃の展開も珍しくないといいます。夫を亡くした妻によくあるのが、家計不安から、国民年金保険料の支払いを猶予してもらい、そのまま保険料を納付をしていないというパターン。追納しないと老齢基礎年金額の受給額が増えることはありません。仮に10年間の猶予期間があり追納をしていなかったとしましょう。すると、国民年金の年間受給額は55万9,062円。65歳を境に「遺族厚生年金+中高齢寡婦加算」→「遺族厚生年金+老齢基礎年金」となりますが、「中高齢寡婦加算>老齢基礎年金」となり、年金受取額は減ってしまうのです。

 

もちろん、このミスは国民年金保険料の納付を猶予してもらったのに、追納しなかった場合に限ります。きちんと保険料を払い満額受給となれば、老齢基礎年金は年間79万5,000円。中高齢寡婦加算を大きく上回るので安心です。