21世紀の初めの年、2001年に生まれた人たちを追跡調査している『21世紀出生児縦断調査』。調査対象となる子の半数は大学生で、これから社会に出ようとしている年齢です。彼らに知ってほしいのは、かつての大学生が辿った顛末。これを反面教師にすれば、人生はプラスに進んでいくはず。みていきましょう。
月収42万円・50代の父の懺悔「すまん、俺の収入では大学に行かせられない」、子「わかった」の先に待ち受ける、最悪の結末 (※写真はイメージです/PIXTA)

親の収入が600万円未満だと…大学生半数以上が「奨学金」を利用

いまから20年ほど前の2001年。国内では小泉純一郎氏が第87代首相に就任し、小泉政権が発足。道路関係4公団の民営化に切り込むなど、構造改革がスタートした年でした。一方でアメリカのITバブルが崩壊し、その影響は日本にも。7月には完全失業率が5%を記録し、株価の低迷や銀行の不良債権処理が企業を直撃し、大手企業の破綻も相次ぎました。職を求めてハローワークに列ができる……そんな光景が日常になっていた年です。

 

一方で、アメリカでは同時多発テロが発生。米英両政府は、反米テロの黒幕であるウサマ・ビンラディン容疑者を首謀者とし、イスラム原理主義テロ組織アルカイダをかくまうアフガニスタンのタリバン政権に対して攻撃。政権は崩壊しました。一方で、パレスチナとイスラエルでテロと報復が続き、当時のイスラエル・シャロン政権は、アラファト・パレスチナ自治政府議長との関係断絶を宣言しました。

 

なんとなく、20年ほど後の現在にも通じるところのある、2001年。この年に生まれた子どもたちを追跡調査している『21世紀出生児縦断調査(平成13年出生児)』の最新結果(第21回調査/2022年調査)が発表されました。このとき生まれた子たちは、現在21歳。現役で大学に進学していれば、大学3年生になっているような人たちです。

 

その進路、現況をみていくと、「大学生」が最も多く55.9%。「就職」が24.5%。「四大以外に通っている学生」が8.0%でした。1年前の調査と比べて、「大学生」は56.3%から55.9%と0.4%減少。全国には約300万人の大学生がいるといわれていますから、年間1学年で3,000人ほどの学生が中退している計算になります。

 

およそ6割弱が大学へと進学していますが、そのうち34.3%が奨学金を利用しています。奨学金利用者の20%強が返済不要の給付奨学金、6割強が返済が必要な貸与奨学金、1割強がその両方を併用しています。

 

また奨学金を利用する人の割合を親の年収別にみていくと、「年収200万円未満世帯」では50.0%、「年収200万~400万円未満世帯」で66.3%、「400万~600万円未満世帯」で53.3%と、これらの年収帯では奨学金利用が過半数を超えています。年収600万円が「奨学金を利用する/しない」の、ひとつの境界線だといえるでしょう。