21世紀の初めの年、2001年に生まれた人たちを追跡調査している『21世紀出生児縦断調査』。調査対象となる子の半数は大学生で、これから社会に出ようとしている年齢です。彼らに知ってほしいのは、かつての大学生が辿った顛末。これを反面教師にすれば、人生はプラスに進んでいくはず。みていきましょう。
月収42万円・50代の父の懺悔「すまん、俺の収入では大学に行かせられない」、子「わかった」の先に待ち受ける、最悪の結末 (※写真はイメージです/PIXTA)

奨学金利用者の4割以上が「奨学金返済が負担です」…人生を棒に振る人も

当時、第1子誕生時の父親の平均年齢が30代前半であることを考えると、21歳、大学生3年生の親は、現在50代前半。厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、50代前半のサラリーマン(正社員)の平均給与は、月収で42.1万円、平均年収で693.1万円。また給与分布をみていくと、「大学生の子が奨学金を利用する/利用しない」の境界線となる年収600万円は、推定月収40万円未満であり、大学生の親の54%に相当すると考えられます。

 

*50代前半、正社員の男性の賞与が月収の3.46倍であることから推計

 

できることなら「自分の収入だけで、子を大学に通わせたい」と思う大学生のお父さんは多いでしょう。しかし家計の状況から鑑みると、自身の給与だけでは心許ない……「すまん、俺の収入だけでは大学に行かせられない」というお父さんが、半数以上というのが現状です。

 

子どもとしても大学に行くためには、「わかった」と奨学金を利用するほか方法はないでしょう。しかし貸与奨学金に返済義務があることを知らず利用する人は意外と多く、結果、返済を延滞してしまうケースが後を絶ちません。返済延滞者の約2割が、「貸与奨学金の返済義務を貸与終了後に知った」と回答。なかには「延滞催促を受けてから知った」という強者も。

 

労働者福祉中央協議会が行った調査によると、「借入金額」の中央値は285万6,000円で、平均値は324万3,000円。また「毎月の返済額」の中央値は1万4,976.3円、平均値は1万6,880.2円、「返済期間」の中央値は15. 5年、平均値は14. 7年でした。さらに返済の負担感は、45.9%が「何とかやっている」、「苦しい」が44.5%という状況です。

 

20代のうちは給与は安く、月々1万円強の返済でも大きな負担です。また30代を迎えると、結婚・第1子の誕生とライフステージの変化により、給与は増えても家計が楽になるわけでもなく、やはり奨学金返済に負担感は変わりません。奨学金返済が重荷となり、結婚や資産形成のタイミングに大きな影響を及ぼしたという声は多く、なかには「結婚を諦めました」という人も。

 

さらに返済が難しく滞納してしまうと、延滞金が課されるうえ、最悪、ブラックリスト入り。今後の人生に大きすぎる影響を与えます。このような結末を辿らぬよう、いまから「奨学金返済を見越したライフプラン」の想定、実行が不可欠だといえます。