中央値で比べてみると…やっぱり安い「中企業の給与」
さらに年齢別にみていくと、最も給与格差が大きくなるのは50代後半。大企業では月収50万6,600円、年収で868万8,600円に達するのに対し、中小企業は月収で35万3,600円、年収で533万4,700円。月収で15万円、年収で335万円もの差が生じています。
また平均値に不信感を持っている人も多いので、中央値でも比べてみましょう。正社員に限った資料はないので、非正規も含めたサラリーマンでの比較になりますが、大企業サラリーマンの月収の中央値は28万4,100円。一方で中小企業では21万5,500円。月収で7万円近い差が生じています。
平均値ではありますが、大企業では月収の4倍、中小企業では月収の2.1倍の賞与等があり、そのまま当てはめてみると、大企業の年収は454万5,600円。中小企業は303万303万8,550円。年収差は150万円ほど。平均値と比べると格差は小さくなりますが、それでも結構大きな差。どのように切り取っても「中小企業の給与、安っ!」と思ってしまう水準です。
世界でみる「平均年収」にみる「日本の凋落」
OECDによると、平均年収(名目ベース・為替ルート換算)が最も高いのは「スイス」。「アイスランド」「ルクセンブルク」「米国」「ノルウェー」と続きます。「日本」はというと、主要38ヵ国中、21位。微妙な順位です。
ただ同調査ではアジアNo.1の座にありましたが、最新調査では「韓国」に抜かれ、アジアNo.2になりました。また先進7ヵ国で比べても、「日本」は6位。しかも7位の「イタリア」がすぐそこにあります。
【先進7ヵ国「平均年収(名目ベース・為替ルート換算)」ランキング】
1位「米国」77,463USドル
2位「カナダ」60,975USドル
3位「イギリス」50,139USドル
4位「ドイツ」47,869USドル
5位「フランス」43,918USドル
6位「日本」34,393USドル
7位「イタリア」33,202USドル
出所:OECD(2022年) 資料:GLOBAL NOTE
同調査における「日本」の順位は、1990年代まではトップクラスでした。それが2000年代に入り、順位を下げていき、とうとう、アジアNo.1から陥落したわけです。
2000年代以降、正社員が減り、非正規社員が増加したなど、構造的な変化があったので、平均給与に差が生じて当然という意見もありますが、残念感が漂うことは否定できません。中小企業は日本の全企業の99.7%を占め、従業員の68.8%を占める、大きな存在。中小企業が元気になり、給与アップが実現できれば、日本の順位は自ずと上がっていきそうです。