終の棲家として、老人ホームを検討する高齢者が増えています。しかし、さまざまな理由から、一度入居したものの、退去を決めるケースも珍しくはありません。「せっかく見つけた老人ホームだったのに……」とショックを受けているところに、さらなる衝撃が襲います。みていきましょう。
年金14万円・80代の高齢女性「もう、ここにはいたくない…」老人ホーム退去を決断も「2度涙した」ワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

老人ホーム退去を決断!さらに訪れる二重のショック

退去は自分で決めたことでも、「せっかく終の棲家だと思ったのに……」と、少なからずショックを受けるもの。さらにショックを受けることがもうひとつ。「返ってくる入居一時金が少ない」ということです。

 

前述のとおり、入居一時金は家賃の前払いのような性質もあるので、退去となれば返還されるはず。しかし戻ってこない部分があることを知っておく必要があります。

 

入居一時金で戻ってこない部分というのが「初期償却」。施設への入会金と考えればいいでしょうか。「入居一時金300万円、初期償却率20%」という施設があれば、60万円がまずは引かれるということ。クーリングオフ制度を利用して90日以内に退去をする場合を除き、数ヵ月で退去したとしても、この60万円強は返ってきません。

 

さらに残りの入居一時金についても「償却期間」によって償却されていきます。先ほどの施設が「償却期間5年」であれば、1年後に192万円、2年後に144万円、3年後に96万円、4年後に48万円と償却されていき、5年後には返還金はゼロ円になります。

 

ーーえっ、一時金って預かってもらっているお金じゃないの?

 

その言葉から、こんな勘違いをしている人も多いようです。条件は施設によって異なり、重要事項説明書に記載され、契約時にはきちんと説明を受けるはず。また入居一時金における償却という考え方を知っていても、初期償却についてきちんと把握していないケースは多く、退去時に施設側とトラブルになりがちです。

 

ちょっとした違和感から「もう、ここにはいられない!」と入居後半年で退去。自身で決めた退去ですが、「はぁ、老人ホーム選び、最初からかぁ」とショック。さらに全額返ってくると思っていた入居一時金が70万円ほど引かれて返ってくる……

 

ーーあれ⁉ なんか少ない

 

そのとき知る入居一時金の仕組みに、二度目の涙……このようなことがないよう、まずは老人ホーム選びは綿密に。また万が一退去となった場合のシミュレーションもしておくと安心です。