終の棲家として、老人ホームを検討する高齢者が増えています。しかし、さまざまな理由から、一度入居したものの、退去を決めるケースも珍しくはありません。「せっかく見つけた老人ホームだったのに……」とショックを受けているところに、さらなる衝撃が襲います。みていきましょう。
年金14万円・80代の高齢女性「もう、ここにはいたくない…」老人ホーム退去を決断も「2度涙した」ワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

高齢者の住まいとしての「老人ホーム」

国土交通省が2022年に作成した資料によると、「老人ホーム」の入居者は224万人。65歳以上人口が3,600万人ということから考えると、老人ホームへの入居率は6.2%程度。入居者の中心となるのは要支援・要介護認定を受けている高齢者ですが、昨今は、健康な人でも入居できる老人ホームも増加。「高齢者が安心できる住まい」というポジションも確立しつつあります。

 

老人ホームと一口にいっても、種類はさまざま。そのなかでも昨今急増しているのが民間企業が運営する「有料老人ホーム」です。全国に1万5,000近くの施設があり、入居者は50万人を超えるといわれています。

 

さらに有料老人ホームは大きく「介護付き」「住宅型」「健康(自立)型」の3タイプに分かれます。

 

「介護付き」は、介護保険で定められた基準をクリアし、介護や食事などのサービスを受けることができます。「住宅型」は食事などのサービスを受けられるものの、介護は「介護付き」のようにパッケージされておらず、個人のケアプランに合わせて外部のサービスを受けることになります。「健康(自立)型」は食事などのサービスは受けられますが、介護サービスは受けられず、要介護になった場合は退職しなければならない施設もあります。

 

また一般の住まいのように、有料老人ホームにもいくつかの権利形態があります。

 

まず「建物賃貸借方式」。一般の賃貸住宅同様、施設で生活するために家賃相当額を毎月支払います。居住と介護等サービスでは契約が別々で、入居者が亡くなっても契約は終了しません。一方、「終身建物賃貸借方式」は、入居の死亡によって契約が終了します。「利用権方式」は、入居一時金を支払い、施設に居住する権利や各種サービスを利用する権利を得ることができます。

 

有料老人ホームの場合、介護付き老で8割、住宅型で6割が利用権方式だといわれています。あくまでも「利用権」であり「所有権」ではないことは、しっかりと理解しておく必要があります。