株の売り買いだけが、投資家にとって“最善の選択”とは限らない
「株式投資をする」ということは、「株を売ったり買ったりする」ということです。
ですから、売買をしない日は「なにもしていない」に等しい、と考える人もいると思います。とくに、投資のプロであるファンドマネージャーや専業投資家の場合、売買をしない=仕事をしていないようで、後ろめたさを感じることすらあるかもしれません。
しかし、めぼしい銘柄がないのに無理に株を買って余計な損失リスクを負ったり、保有している銘柄がまだまだ上がりそうな兆しをみせているのに、わざわざ売って利益を確定したりという行動は、最善の選択といえるでしょうか?
決してそんなことはないはずです。
株の売買をするのが株式投資ですが、一方で売買もせずに「なにもしない日」も、株式投資家にとっては重要な1日になり得ます。売買しないことも投資の一部だと、マインドを切り替える必要があるかもしれません。
「買わない」ことで避けられる損失とは?
とくに、「買わない」ことは重要です。上にみた通り、買うことで余計な損失リスクを負う可能性があるためです。
そもそも株式投資における「損失」がどのようなものかというと、以下の通りです。
1.買った株が値下がりする
2.買わなかった株が値上がりする
3.売った株が値上がりする
このうち2と3は、得られる可能性のあった利益の損失、つまり機会損失です。密かにねらっていた株や、過去に保有していたもののなかなか値上がりせずに手放した株が値上がりしていく様子を目の当たりにするのは悔しいものですが、この局面では実損が生じている訳ではなく、「買っていれば(売らずに持っていれば)儲かったのに!」という性質のものです。
つまり、唯一現実の損失は1の「買った株が値下がりする」ケースのみであり、これこそが、避けるべき損失です。
投資家には、値下がりする株を掴んでしまわぬように「あえてなにもしない」という選択を採るべき局面があるのです。株を買わなかったことで大きな損失を避けられたのであれば、それは投資家にとっては大きな「利益」ともいえそうです。