遺言書を用意すれば、別のお墓に入れるか?
たとえば、遺言書に「私が死んだら自分の実家のお墓に入れてほしい」と残したとします。ですが、遺言書は遺産関係のことに対して法的拘束力を持つとされており、死後の埋葬方法については法的拘束力がないため、必ずしも自分の希望が叶えられるとは限りません。
遺言書やエンディングノートに書くことはもちろん、やはり生前から家族に自分の希望をしっかり伝えて納得してもらう必要があります。
なお、自分の死後の手続きや納骨手続きなどに法的拘束力を持たせる方法に「死後事務委任契約」というものがあります。この方法を選ぶのであれば、法的な知識を持つ専門家にアドバイスを受けることをお勧めします。
また、「死後離婚」で完全に親族関係を断ち切ってしまい、夫側のお墓に入れないようにすることもできます。死後離婚とは、配偶者の死後に「姻族関係終了書」を提出することで、夫の親族との縁を断ち切ってしまうことです。
死後離婚で夫の家族・親族との関係を断つことにより、残された舅や姑の世話もしなくてもよくなりますが、夫との婚姻関係は二度と戻せませんし、夫の法要への参加もしにくくなってしまいます。
夫婦お互いが納得するお墓のあり方を話し合う
奥さんが別のお墓を希望する理由はいろいろあるようで、主な理由は下記です。
・一人で自由になりたい。
・義理の両親と一緒はイヤ。
奥さんが別のお墓を希望するのは、夫との不仲だけが理由ではなく、夫の両親や実家に対しての気持ちもあるようです。その場合は、実家とは別に夫婦二人のお墓を建てることを考えてもいいでしょう。
お墓への考え方も多様化しており、さまざまな選択肢が出てくる時代になりました。少子化問題もお墓への考え方に影響を与えており、新たな時代での悩みとなっています。残りの人生を有意義に充実して過ごすことができるように、夫婦や家族が納得できるゴールを見つけるためにも一度じっくりと話し合ってみてはいかがでしょうか。
川淵 ゆかり
川淵ゆかり事務所
代表