(※画像はイメージです/PIXTA)

今後、社会の高齢化に伴い、高齢の「おひとりさま」世帯が増えていくことが想定されます。また、誰しも認知症になる可能性があります。もし認知症になった場合、契約や相続をめぐって法的なトラブルに見舞われる可能性があります。そこで、事前の備えをしておくことが推奨されます。この問題に詳しいダーウィン法律事務所共同代表の野俣智裕弁護士が解説します。

4. 事前に検討すべき「4つの対策」

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

おひとりさまの場合、認知症の兆候に気づいてくれる家族がいないため、早期発見できず、自己判断では必要な対応が遅れてしまう危険性があります。そのため、判断能力がしっかりしているうちに、将来の「もしも」に備えて対策をとっておくことは非常に重要です。

 

検討することをおすすめする対策は、以下の4つです。

 

・任意後見契約を結んでおく

・民事信託(家族信託)契約を結んでおく

・死後事務委任契約を結んでおく

・遺言を作成しておく

 

◆対策1|任意後見契約を結んでおく

第一に、任意後見契約を結んでおくことです。

任意後見契約とは、本人が認知症などによって、判断能力が不十分な状況になった場合の生活、療養看護、財産の管理に関する事務に関して、本人が選んだ人に代理権を与えることを予め決めておく契約です。

 

要するに、ご自身がもしも認知症などで判断能力が低下してしまった場合に、自分の代わりに必要な事務をしてくれる人を予め決めておくのです。

 

この契約では、たとえば、持っている土地・建物・預貯金などの財産の管理、生活に必要な物品の購入・代金の支払い、医療・入院・介護契約や福祉サービスの利用契約、居住用不動産の購入や賃貸借契約など、認知症になった後に自分では対処できなくなるさまざまな事項について、信頼できる人に代理権を与える約束をしておくのが一般的です。

 

任意後見人には自分の甥や姪など少し遠縁の親戚を立てることもできますし、信頼できる友人に依頼することもできますし、弁護士等の専門家に依頼することもできます。

 

任意後見契約は、必ず公正証書で締結しなければなりません。

 

また、任意後見契約においては、家庭裁判所が選任する任意後見監督人をおかなければならないことになっています。任意後見監督人は、任意後見人の事務を監督し、定期的に家庭裁判所に報告する人です。

 

任意後見人が不正を働いたり、適切に事務を行わなかったりというような事態を防ぐために、任意後見監督人がいなければ、任意後見契約の効力が発生しないしくみになっているのです。

 

任意後見監督人の選任は、本人自らが請求することもできますし、四親等内の親族や任意後見受任者も請求することができます。

 

注目のセミナー情報

【国内不動産】5月16日(木)開催
東京23区×新築×RC造のデザイナーズマンションで
〈5.5%超の利回り・1億円超の売却益〉を実現
物件開発のプロが伝授する「土地選び」の極意

 

【事業投資】5月25日(土)開催
驚異の「年利50% !?」“希少価値”と“円安”も追い風に…
勝てるBar投資「お酒の美術館」とは

次ページ対策2|民事信託(家族信託)契約を結んでおく

本記事は、株式会社クレディセゾンが運営する『セゾンのくらし大研究』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。