学校卒業後、15年続く「奨学金返済」の呪縛
家賃は固定費であり節約もできないので、わずかな値上げでも生活に影響を及ぼします。厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、20代前半のサラリーマンの平均給与は月収で23.5万円。手取りにすると、独身1人暮らしで18万円程度です。そこから家賃、光熱水道費、携帯代……もろもろ引いて、残ったお金でやりくりしなければなりません。東京で一人暮らしをする若者、生活はカツカツです。
そんななか、男性のささやかな贅沢は「スターバックスの限定フラペチーノ」だとか。トールサイズで700円ほど。それが週1回のご褒美……ではなく、月1のご褒美だというから、なんとも切ない。
また男性を苦しめているのが奨学金の返済。労働者福祉中央協議会『奨学金や教育費負担に関するアンケート調査』によると、奨学金の平均借入額は310万円で、毎月の返済額は平均1.5万円、返済期間は平均14.5年。大学卒業後から返済スタートであれば、30代後半になってやっと完済する計算です。また給与の低い20代で、月1.5万円の負担は重いもの。では30代になり給料も増えれば……新たに家族も増えて、という人もいるでしょう。そうなると月1.5万円の負担はやはり重いままです。
返済の負担感について尋ねると「返済に余裕がある」は1割に留まり、45.9%が「何とかやっている」、「苦しい」が44.5%という状況。さらに奨学金返済による生活設計への影響を聞くと、最多は「貯蓄」で65.6%。さらに「結婚に影響があった」が37.5%。「子育て」が31.8%、「出産」が31.1%。奨学金の返済が多くの人の人生設計に影響を及ぼしています。
このような状況下、奨学金を利用してまで高等教育を受けたことについて「満足(満足していると、どちらかといえば満足)の合計)」が7割強。一方で「不満」を露にする人は25.3%。
ーー奨学金の返済がこんなに大変なんて……いまさらながら、悔やんでいます
そう、4人に1人は後悔しているのです。
ーーそこまでして大学にいく意味があるのか
と問う人もいますが、企業求人の応募要件として「大卒以上」と多くが記してある現状、無理してでも大学に進学しなければ、と多くの人が焦ることでしょう。しかし、奨学金を活用せず進学を諦めたことで低収入、そして生活苦。一方、奨学金を活用して進学したことで多少の収入アップも返済負担が重く生活苦……どちらにしても「生活が苦しい」という結果になる、なんとも不思議な現象が起きています。